研究課題/領域番号 |
16K16157
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
小川 祐樹 立命館大学, 情報理工学部, 助教 (40625985)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 計算社会科学 / ソーシャルメディア / ウェブマイニング / Twitter / 選択的接触 / 分断化 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、ソーシャルメディアあにおける人々の態度が極性化・分断化する現象を実証的に検証し、これを促進させる心理的・情報環境的要因を明らかにすることである。具体的には、機械学習のアプローチで行動ログから態度を推定するモデルを構築し、これを大規模ユーザに適用することで、従来の実験室実験・質問紙調査での規模を超えた現実スケールでの極性化・分断化現象を明らかにする。現在までに、以下の二つの課題について取り組んでいる。
1. 日本のTwitter利用者の党派的な分断化構造の程度を明らかにする 2. 極性化・分断化を促す選択的接触が個人の態度にもたらす影響を明らかにする
1.の課題に対しては、Twitterユーザへの質問紙調査と、そのユーザの行動ログに基づいた分析を行った。ここでは、Twitterユーザのの心理的特性を得るための設問を先行研究をもとに作成し、調査会社経由で1500人のデータを取得した。さらに、そのユーザのTwitter上での行動ログを取得し、行動ログをもとに機械学習によって心理的特性を予測するモデルの構築を行った。構築したモデルでは、Twitter上の言語的情報やネットワーク情報を用いて、個人の党派性や基礎的なパーソナリティ指標を既存研究と同程度の正確性で推定することが可能となった。さらに、このモデルに基づき、大規模ユーザへ適用することで集団・社会での分断化現象の検証について取り組んでおり、今後は時系列でのデータ比較にもどついて2.の課題について分析を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
Twitter利用者の心理的特性、および行動データについては十分なデータの取得ができた。Twitter利用者に対する質問紙調査では、個人の心理的特性であるBigFiveやDirkTriad、党派性、社会支配志向などを測る設問を設定し、1500人程度のデータを得ることができた。さらに、これらのユーザのTwitter上での行動について過去のツイートやフォロー情報を取得することができた。これらのデータを機械学習で推定するモデルについても、先行研究と同程度の正確性をもつモデルを構築することができ、今後の大規模なユーザに適用するための基礎的な準備が整った。
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今後の研究の推進方策 |
今後、構築したモデルを大規模なユーザ群に適用することで、ソーシャルメディアでの極性化・分断化現象を明らかにする。さらに、時系列での個人の情報環境と行動、および態度変化を追うことで極性化・分断化の促進状況とその要因を明らかにする。具体的には、個人の態度(党派性) 、情報環境要因(近傍ユーザとの党派的な同質性) 、行動(友人の選択、コミュニケーション相手の選択、自身の発言内容)との関連性から選択的接触の程度を示し、これが態度変容に及ぼす影響を明らかにする予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初は質問紙調査を2回行う予定であったが、1回分の質問紙調査しか行えなかったためその分の使用額に変更が生じたためである。
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次年度使用額の使用計画 |
当該年度できなかった質問紙調査(2回目)を調査会社に依頼して実施する予定である。
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