本年度は、ネット上での差別的な発言にみられる排外主義的な言動に関与する人々がどのようなパーソナリティ特性を持っているのかを明らかにするために、ネット調査から得たTwitterユーザのパーソナリティデータをもとに、機械学習によってこれらに関与する人々のパーソナリティ特性の推定を行った。そして、関与者の意見がどのような人達によって受容・拡散されていくかを、いくつかの炎上・排外行動の事例をもとに分析を行った。ネット上での差別的な発言にみられる排外主義的な言動は、コミュニティの対立や個人・集団の意見や行動を過度に助長する危険性もあるため大きな社会問題であり、これらの関与者の特性を明らかにすることは重要な課題である。本研究では、具体的な事例として「韓国関連」の話題について発言を行うTwitterユーザを対象に、発言およびフレンド関係のログを取得し、関与者の態度およびパーソナリティの推定を行うことで、偏見・差別を行うユーザの特性を定量的に明らかにする。 分析の結果、偏見などの差別的な言及を行うTwitterユーザ群は、いくつかのコミュニティの構造を有しており、ダークトライアドなどパーソナリティそのものが反社会的なのではなく、生真面目で活動的なパーソナリティと偏ったイデオロギーや現状認識が関連している可能性が明らかになった。これらの結果は、従来の研究結果と整合的な結果であり、本研究のアプローチにより関与者の新たな態度の特性を機械学習により定量的に示すことが可能になった。
|