| 研究課題/領域番号 |
16K16163
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| 研究機関 | 駿河台大学 |
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研究代表者 |
國本 千裕 駿河台大学, メディア情報学部, 講師 (10599129)
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| 研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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| キーワード | レイ・エキスパート / フォトボイス / インタビュー / 熟達化 / 実践知 / 専門知 / 患者の知 / 医学・医療情報 |
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| 研究実績の概要 |
平成28年度は「研究枠組み」の再検討のため、従前より収集していた、図書館情報学、医療社会学、科学社会学、健康情報学等の各種関連文献に基づき、１、患者自身が、治療・看護の実践を通じて体得しうる「医学・医療についての実践知」と、２、医師や看護師等の専門家が、大学教育（カリキュラムや試験）を通じて体系的に習得している「医学・医療についての専門知」について、各概念の比較と再整理を改めて実施した。
さらに、その成果物として構築した、新たな「研究枠組み」を元に、スノーボール方式で集めた数名のレイ・エキスパートを対象に、本研究第一の目的である「レイ・エキスパートの背景と自己認識を探る」半構造化インタビューを実施した。現在、その結果については再分析を完了し、成果を査読付学術雑誌に投稿するべく、論文執筆中である。
つづいて、今回の調査手法である、フォト・ボイス・インタビューについて、その手法的な特徴の再確認を行った。別途、研究代表者が高等教育の現場（アクティブ・ラーニングの文脈）において実施中であった、フォト・ボイス法を用いた調査のマニュアルと成果を応用し、今度は「レイ・エキスパートと素人」「レイ・エキスパートと専門家」の間で、実際に会話や知識のやりとりが発生する場（患者会や各種委員会）において、この手法を応用したプレ・テストを実施した。その結果、特に「レイ・エキスパートと素人」のやりとりを観察する場面において、調査実施時に生じる課題（問題点）や改善点をいくつか明らかにできた。
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| 現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究枠組みに関しては、未だ概念整理が不十分であり、特に（医学ではなく）医療の文脈における「専門家と素人の有する実践知」の特徴と差異について、次年度以降の本調査実施に備えた、さらなる検討と精緻化を行う必要がある。
さらに、特に「レイ・エキスパートと素人（患者）」のやりとりを観察する場面において、フォト・ボイス法を用いる際の困難にも直面した。今後、この手法を用いる場合には、被写体として映りこむ人物の抵抗感、撮影場面の選択や、不自然にならないための撮影時の注意点等、何点か解決すべき課題があり、更なる試行錯誤が必要である。
上記のとおり、今年度の取り組みは、調査設計に不十分な点があり、手法に関してもいくつかの改善点が見出され、一部、当初の予定どおりに進まなかった。一方で、本研究第一の目的である「レイ・エキスパートの背景と自己認識を探る」半構造化インタビューは完遂し、さらに、次年度の本調査実施に向けての各種課題を浮き彫りにしたという点で、前段階としては一定の成果をあげ、おおむね順調に進展していると判断した。
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| 今後の研究の推進方策 |
平成28年度における、研究枠組みの再検討、および、各種プレテストの結果をふまえて、平成29年度からは、若干の計画修正が必要である。
平成28年度の研究成果により、研究目的の１点目である、レイ・エキスパートの「背景」と「自己認識」を探る調査はおおむね順調に進展し、目的を達成した。一方で、研究目的の2点目としてあげた、レイ・エキスパートが実践を通じて獲得した「専門的な知識」を活用・獲得している場面を明らかにする調査に関しては、フォト・ボイスという手法の用い方も含めて再考が必要となった。
平成29年度前半は、まず、現在検討を促されている、医療の文脈における「専門家と素人の有する実践知」の特徴と差異の再整理を急ぐ。そのうえで、研究対象と研究手法、それぞれについて、アプローチの仕方も再検討したい。平成29年度後半からは、実際に再検討した対象に対して、より大規模な別手法の導入も視野にいれつつ、新たなアプローチを探りたい。
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| 次年度使用額が生じた理由 |
年度途中で明らかになった、研究代表者の所属先変更（転出）にともない、当初予定していた備品の支出を控え、さらに、当初、年度をまたいで支出予定であった、海外への学会発表参加、および各種の調査実施を中止せざるをえなかったため。
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| 次年度使用額の使用計画 |
平成29年度からは、新規所属先にて、当初予定していた備品（高性能パソコンやカメラ等）の購入、および、平成28年度に参加を中止せざるをえなかった、海外学会への参加と、各種調査の実施を再開する。これにともない、国内・国外旅費、および、調査対象者への謝金、さらに、インタビュー書き起こし等の業務委託費が今後支出される予定である。
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