本研究は、ブータン王国を対象地域としてフィールドワークを行い、ブータン独自の情報社会像を描き出すことを試みた。調査はブータン王立大学の協力の下、3年間で4回現地を訪れ、大学生を対象とした参与観察など実施した。彼らの携帯電話利用に着目すると、たしかに、使用アプリケーションはグローバルに利用されているものがほとんどであるが、その利用時の態度にブータン人の特徴を見出すことができる。そしてその特徴は、ブータン人の時間と空間という概念についての独特な感覚に結びついている。それは、工業化を経ずに情報通信技術が普及したブータンだからこそ発達した感覚である。
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