研究課題/領域番号 |
16K16176
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研究機関 | 日本教育大学院大学 |
研究代表者 |
山田 雅之 日本教育大学院大学, 学校教育研究科, 准教授 (10610206)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | プロジェクト型学習支援システム |
研究実績の概要 |
本研究は近年増加している協調的な問題解決場面を対象とし,同じ問題を共有する学習者が,身体を使ってわかったことも含めて,互いの考えを発話しながら徐々に理解を深め問題を解いていく過程について,概念変化を示す発話と具体的操作を示す身体動作を俯瞰的に可視化するシステムを開発する. 本年度は(1)ベースとなるモジュールを既存のシステムの一部を利用し開発し,(2)協調問題解決実験のデータを分析し,可視化された学習過程から人の学習過程における概念変化と身体動作の関係について検討した. システム開発に関して,入力データは時間のデータと学習者のデータ,さらに学習過程を示す発話と身体動作のデータを入力する.出力では人・学習過程・時間帯の3つをコントロール可能な形とした.対象としている学習場面はペアであるため,2 名もしくはそれぞれの学習者のみの学習過程を示すことが可能である.学習過程のデータは発話と動作をそれぞれ個別で表示することが可能な形で設計した.両者を示しているときはその形状を決めることで全体を俯瞰的に可視化しても了解可能な形とした.システムでは学習過程が進んでいく様子を矢印で表現し,学習者それぞれによって色を変えられるようにした.時間帯を指定することで学習の序盤と終盤でどのような特徴があるかを俯瞰的に認識できるようになっている. システムの実装に向けて,すでに採取された2名で問題を解いている協調問題解決場面の学習過程データ(発話プロトコル)に対して概念変化と身体動作がそれぞれどのようなカテゴリが適切であるかを検討した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
(1)ベースとなるモジュールを既存のシステムの一部を利用し開発し,(2)協調問題解決実験のデータを分析し,可視化された学習過程から人の学習過程における概念変化と身体動作の関係について検討した.(1)に関してはすでに開発が済んでおり,今後(2)のデータを実際に複数のペアについて検討し実装することでシステム改修を検討したい.(2)については現在それぞれのデータについてカテゴリ化がなされ,今後複数のペアに対して統合したカテゴリで表現可能かについて検討を進めている.
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今後の研究の推進方策 |
今後は現在進めているデータのカテゴリを実際のシステムに入力することでサンプルデータの分析を進めシステム改修を検討する.すでに採取されているすべてのデータに関して共通カテゴリを作成し,可視化することで教師が言葉と身体の往還やそれを通した理解深化過程を確認することによって,子供の学習過程に即したプロジェクト型の授業作りを支援可能かについて検討していきたい.また,別の実験データを利用することで人の学習過程において具体的な身体動作と抽象的な概念変化との往還のプロセスを明らかにしていきたい.
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