本研究は協調的な学習場面における学習プロセスの検討方法の提案を目指し,2名で問題を解いているプロセスにおける概念変化と身体動作の可視化システムを開発した.従来の学習プロセスの評価では概念変化が対象となることが多く見られた.本研究では身体動作にまで評価指標を拡張し,両者を可視化することを目指した.小学生2名の12ペアが問題を解いているプロセスを可視化した結果,(1)多くのペアでは問題解決の前半に身体動作も含めた理解レベルの往還が見られた.(2)不正解同士のペアであっても身体動作が理解レベルの往還とともに起きることで正解になり得ること.が示唆された. また,組織における協調的な学びを対象とした研究では,学習プロセスの可視化手法として,ネットワーク分析を用いることで可視化が可能であることが示唆された.この研究では人をノードとしてネットワーク図を構築し,そのネットワーク図での各自の媒介中心性の値を用いることで組織(や学び)の状態を検討可能であることが示唆された. この知見を用いて,アイスホッケースラップシュート を対象とした研究では,身体動作の可視化と概念変化の様子をネットワーク分析を用いて可視化した.本研究ではネットワーク図と次数中心性の値を用いて可視化することによって,学習者の学習プロセスが可視化可能であることが示唆された. 2018年度は雑誌論文2本(1本は国際誌),国際シンポジウム1件,国内学会発表2件を成果として報告した.
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