研究課題
今年度の研究では,昨年度開発した(1)看護予習復習システム,(2)手話CG Wikiの実証実験を行った.(1)に関しては,まず看護学生107名に対して予習支援システムの使用有無による学習効果を検証した.映像閲覧回数上位・下位10名の看護学生の成績を比較した結果では,試験合格率の差は確認されなかった.つぎに看護学科2年生32名の注射実習に対して復習支援システムを利用した学習効果を検証した.看護動作のチェックリスト評価では,23項目中22科目において,実験開始時の評価より,終了時の評価が同等もしくは上回ることが確認された.復習支援システムでは,看護学生自身の演習を撮影,視聴して,客観的に確認することができるため,看護学生の演習評価が向上したと考えられる.(2)に関しては,手話有識者9名 (大学手話サークル6名,障がい者センターに通う3名)に対して,実証実験を行った.操作性については改善の余地があるという意見を頂いた一方で,必要性に関しては高い評価が得られた.そのため,操作性を向上させることが今後の課題として挙げられる.そのほか,昨年度の課題であった,画像処理による動作解析モデルの構築については,SVM (Support Vector Machine) を用いて単語ごとの学習を行い,手話単語予測器の構築を行った.全国手話検定試験の5級のうち,321単語を学習させ,評価用データで実験した結果,52.5%の正認識率であり,充分な精度が得られなかった.この理由は,現行手法の画像処理では,指の幾何形状を検出できていないため,手話を構成する,「手の位置」・「動き」「形」のうち,「手の位置」と「動き」のみで学習器を構築したためである.すなわち,現在では単語候補を絞る程度のみ実現できているといえる.今後の課題は,指の幾何形状認識を重点に進める.
2: おおむね順調に進展している
看護学習・手話CG Wikiに関しては,利用するユーザの意見を取り入れながら,拡張を進めており,申請者が想定していなかった観点の意見も反映されている.そのため,申請時の計画よりも大幅に進んでいるといえる.一方で,映像解析という点については,昨年度同様に充分な解析ができていないため,総合的な進捗状況としては順調であるとした.
今後も引き続き,実証実験を踏まえて研究を進めていく予定である.看護学習については,ベッドメーキングの演習に取り掛かる.手話CG Wikiについては,操作性の向上と単語数の増加を課題に挙げる.手話映像解析については,指の幾何形状推定に重点を当てる.
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