研究課題
熟練者の動作を撮影して,映像を視聴しながら模倣して学習する方法が行われている.本研究では,学習者が注目する動作,習熟度ごとの動作パターン,技術向上に影響する動作を解明し,習熟度に合わせた学習支援法について検討した.具体的には,(1) 看護動作映像フィードバックによる学習支援,(2) 画像処理の動作分析による姿勢改善支援,(3) 指導動作評価のための振り返り支援を提案した.それぞれについて以下に述べる.(1) 看護教育の現場では,動作を項目化したチェックリストを利用して学生が復習していた.このチェックリストの確認は,看護演習後に看護学生の記憶によって採点されるため,適切に評価されていないという課題があった.そこで本研究では,看護学生の動作を多視点で撮影して,映像とチェックリストを並べて評価できるシステムを構築した.37名の看護学生に対して注射演習のカリキュラムで評価した結果,演習の評価が向上したという結果が得られた.(2) 上記の研究背景のように,看護動作は目視で評価されており,客観的根拠が充分とはいえなかった.そこで画像処理の動作分析を用いることで,目視判定誤差をなくした姿勢評価手法を提案した.腰角度と身体合成重心を計測して,演習中に警告することで即座に正しい姿勢を意識できる支援環境を構築した.(3) 指導者の指導方法は,知識や経験年数のみで効果を検証することはできない.そこで本研究では指導動作を分類し,手動で得点化するシステムを構築した.このシステムを利用して指導教員と初学者である学生4名の指導動作を可視化・比較した.実験の結果から,指導教員の指導が学生らの指導と比較して高得点であることが確認されたため,指導教員は評価項目を意識した指導を実施したと考えられる結果が得られた.これらの3テーマを中心に研究を進め,それぞれのテーマで充分な効果が確認された.
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