研究課題
前年度までに開発したモデルを用いて、現在の観測で知られているオゾン破壊物質や温室効果ガス濃度を入力した実験(現在気候実験)、及び、それに対して将来シナリオの濃度を入力した実験(将来気候実験)を行った。現在気候、将来気候実験でヨウ素化合物の放出を行い、オゾンに対するヨウ素化合物の影響を推定した。ヨウ素化合物の放出量は観測値に幅があるため、これら現在気候、将来気候実験のいずれにおいても、ヨウ素化合物の入力量は観測値の幅を考慮し、海面上のヨウ化メチル(CH3I)濃度で0.2 pptvから2.0 pptvになっているものと仮定した。オゾン破壊物質や温室効果ガス濃度が同じ条件でCH3I濃度を徐々に変えた複数の実験を行なうことで、観測値の幅による不確実性を考慮してヨウ素化合物の影響を推定することが可能である。現在気候実験でCH3Iの入力量を徐々に増加させていくと、無機ヨウ素(Iy)濃度が追随して増加した。成層圏におけるオゾン個数密度の最大値はIy濃度増加に伴い徐々に低下するが、2.0 pptvの入力値付近では必ずしもIy濃度に追従しない。将来シナリオ実験でCH3Iの入力量を変えた場合には、0.2 pptv程度の入力量では現在気候実験との差が不明瞭だが、1 pptv以上の入力がある実験では現在気候実験よりもIy濃度が低下した。またオゾン個数密度の最大値の高度は将来シナリオ実験で高くなったが、CH3Iの入力値依存性は変化しない。オゾン個数密度の最大値の高度の違いは、残差平均子午面循環の鉛直成分の違いと整合的であった。本年度は、化学気候モデルの相互比較に関する共著論文や、年々変動のプロセスに関する主著論文、日本語の解説を発表し、国内学会、国際会議における発表も行なった。
すべて 2019 2018
すべて 雑誌論文 (10件) (うち国際共著 4件、 査読あり 8件、 オープンアクセス 9件) 学会発表 (11件) (うち国際学会 7件)
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