本研究の目的は、炎症がγ線照射後の前精原細胞の死滅に関与するかどうかを検討することである。胎齢16.5日目でγ線照射された雄マウスの精巣では、炎症性サイトカインであるIL-1βおよびIL-6のmRNA発現量が増加し、炎症が起きていることが確認された。胎齢16.5日のインフラマソーム構成分子(ASC)欠損マウスにγ線を照射したところ、野生型マウスと同様に前精原細胞の死滅が観察された。一方、精巣器官培養では培養液にLPSを添加することで精巣の発達が阻害された。以上の結果から、炎症がγ線照射後の前精原細胞の死滅に関与している可能性は低いが、幼若期精巣の発達には悪影響を及ぼすことが明らかとなった。
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