研究課題
残留性有機汚染物質 (POPs) や、重金属類をはじめとする環境汚染物質は、多様な遺伝子発現プロファイルの変化を通じて複合的に生体に影響することが知られている。このような、化学物質の曝露に由来する複雑な生体影響パスウェイの変化を解析する手法として、メタボローム解析が近年注目されている。しかし、化学物質の曝露影響評価をオミクス解析技術と組み合わせた研究はin vitro, in vivoの研究が主であり、ヒトを対象とした研究は限られている。本研究に置いて、申請者はコホート調査により採取した妊娠女性血清・胎児臍帯血清試料および、電気電子機器廃棄物リサイクル従事者・対象地域住民の尿試料を利用し、化学物質の曝露レベルと試料中メタボロームの組成について関係を解析し、曝露レベルを反映する要因について探索を試みた。この結果、いずれの研究においても高濃度群・低濃度群をメタボロームの組成から判別するための高精度なモデルを機械学習により確立できた。また、予測に寄与する因子について解析を試みたところ、妊娠女性においてはグルタチオン代謝に関連するパスウェイの変動が、臍帯血清においてはエネルギー代謝に関連するパスウェイの変動が示唆された。電気電子機器廃棄物リサイクル従事者においては、腎臓における低分子化合物の再吸収に関連するパスウェイや、神経系・ヘム合成に関わるパスウェイの変動が示唆される結果が得られた。これらの結果はいずれも国際誌に投稿し、受理あるいは査読対応中である。
すべて 2017 その他
すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 2件) 産業財産権 (1件)
Environment International
巻: 102 ページ: 157~164
10.1016/j.envint.2017.02.011
Journal of Diabetes Investigation
巻: 印刷中 ページ: 印刷中
10.1111/jdi.12719