研究課題/領域番号 |
16K16200
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
アイツバマイ ゆふ 北海道大学, 環境健康科学研究教育センター, 特任助教 (90752907)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | フタル酸エステル / 分析条件検討 |
研究実績の概要 |
本研究は、思春期前の尿中フタル酸エステル類曝露が、その後の第二次性徴発来に与える影響を明らかにすることを目的とした。 平成28年度は、7歳および12歳になる児各569名、447名に尿採取を依頼しそのうち478名(回収率84%)、387名(87%)の尿を回収した。回収した尿中のフタル酸エステル類代謝物5化合物(MBzP,MEHP,MEOHP,MEHHP,MiNP)についてLC/MS/MSを用いた分析初期条件検討を実施した。 各化合物の標準物質およびサロゲート物質からアセトニトリルで希釈した混合標準溶液およびサロゲート標準混合溶液を調整し検量線用標準溶液を9段階の濃度で作成した。検量線用標準溶液5ng/mL1uLをLC/MS/MSに導入し各化合物の定量イオン/確認イオンを設定した。 MBzP:255.2>77/255.2>107;MBzP-d:259.2>107/259.2>77;MEHP:277.2>134/277.2>127.2;MEHP-d:281.2>137/281.2>79;MEOHP:291.2>121/291.2>143;MEOHP-C:295.2>124/295.2>143.1;MEHHP:293>121.1/293>145.1;MEHHP-C:297>124/296.8>145;MiNP:291.2>141.1/291.2>77;MINP-d: 295.2>79。 分析カラムはBEHC18(1.7um 2.1x100mm)、RTGカラムはBEHC18(1.7um 2.1x50mm)を用い、流速0.35mL/分、カラム温度40℃でグラジエント条件を検討した。カラム圧が高く、MiNPがカラムに保持されていない可能性が考えられ、50℃、0.25mL/分でグラジエントおよび初期条件を再設定したところ圧は改善したがMiNP保持は改善しなかった。今後はカラムを変更し再検討を行う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
尿の回収および第二次性徴に関する質問票の回収については概ね計画通りに進んでいる。翌年度以降も尿の回収を引き続き実施すれば研究期間内に必要なサンプルサイズを満たす予定である。 尿中のフタル酸エステル代謝物の測定に関して、測定に用いるLC/MS/MSの導入時期が平成28年12月となり、機器を用いた条件検討の開始が当初の計画より遅れたため、「やや遅れている」と評価した。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き7歳および12歳の尿の回収、および第二次性徴に関する質問票の発送・回収を他の研究メンバーと協力して行う。 尿中フタル酸エステル類代謝物の機器分析に関しては、カラムを変更し、MiNPおよびその他の対象化合物の各クロマトのピークの感度が良好に検出されるよう引き続き初期条件の検討を行う。その後、得られた各クロマトグラムから検量線を作成する。標準物質のピーク面積をサロゲート物質のピーク面積で割って得られる比をY、分析した検量線用標準溶液に含まれる標準物質の濃度をサロゲート物質の濃度で割って得られる比をXとし、重み付けなしで、最小二乗法により回帰式及び寄与率(r2)を計算し0.995以上であることを確認後、尿検体を用いた前処理を実施する。前処理法は既に確立された方法を用いるが必要があれば一部改変する。12歳の第二次性徴に関する質問票のデータおよび7歳の尿がある1500名の尿中のフタル酸エステル類代謝物濃度の測定を行い、12歳までの第二次性徴発来との関連を解析する。具体的には、小学校6年間の身長・体重から発育曲線を作成し、身長のスパートを評価し第二次性徴発来の指標とする。またTanner分類を元に、男児は陰毛の発毛および声変わり、女児は乳房の発育、陰毛の発毛、および初経の開始を第二次性徴発来の有無をアウトカムとし、尿中代謝物濃度との関連を重回帰分析およびロジスティック回帰分析を用いて明らかにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
分析機器の導入が遅れ、分析条件検討のスタートが12月からとなり、前処理に使用する試薬などの消耗品の購入を翌年度に持ち越すこととしたため。
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次年度使用額の使用計画 |
分析試薬、器具などの購入、尿および調査票発送・回収に伴う費用への使用を計画している。
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