研究課題
森林に降下した放射性セシウムは、事故初期に森林樹冠に遮断され、その後は雨水や落葉とともに徐々に林床に移動する。そのため、森林では他の土地利用とは異なり、林内の放射性セシウム分布が時間経過とともに変化してゆく。そこで本研究では、森林内の放射性セシウムの移行が林内空間線量率の変化に及ぼす影響を明らかにすることを目的として実施した。福島島県伊達郡川俣町山木屋地区のモデル調査森林において、森林内の放射性セシウムの分布・移行状況の調査と林内空間線量率の定期測定を実施した。原発事故から8年目の森林内の放射性セシウムの移行状況と林内空間線量率の変化傾向の実測データを取得するとともに、地上レーザー測量及び無人航空機を用いた航空写真測量データの解析を進め、樹冠構造が林内の放射性セシウムの初期分布に及ぼす影響を明らかにした。一方、林床の堆積有機物及び土壌の含水率の変化が林内空間線量率に及ぼす影響を現地観測によって明らかにし、先行降雨指数を用いて線量の変動を予測できる可能性を示した。さらに、林野庁が平成23年に林内空間線量率の広域測定を実施した地点において林内空間線量率の再測定を実施し、様々な樹種における林内空間線量率の変化傾向を明らかにし、いずれの樹種においても林内空間線量率の低減傾向は放射性セシウムの物理減衰を仮定した場合の低減速度と同程度であることが分かった。以上の調査研究に加えて、福島県内の森林における放射性セシウムの初期沈着量を推定するために、既存の航空機モニタリングデータを解析することにより初期沈着マップを作成し、DOI(デジタルオブジェクト識別子)をデータに付したうえで所属機関のホームページにて公開した。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 1件、 査読あり 3件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 1件) 備考 (2件)
Journal of Environmental Radioactivity
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http://katolab-geoenvironradioact.com/%e7%a0%94%e7%a9%b6%e6%a5%ad%e7%b8%be/
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