研究課題/領域番号 |
16K16205
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研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
窪田 恵一 群馬大学, 大学院理工学府, 助教 (50707510)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 微生物燃料電池 / 底質汚染 / 栄養塩溶出 / 底質改善技術 |
研究実績の概要 |
本年度では、東京湾より採取した高い汚染状況にある底質を用いて堆積物微生物燃料電池による栄養塩溶出抑制ポテンシャルを明らかにする事を目的として、日照条件による堆積物微生物燃料電池の溶出抑制効果に及ぼす影響の検討とともに、堆積物微生物燃料電池の発電性能の変動が与える影響の検討を行った。日照の有無による影響では、日照の有無によらず栄養塩溶出抑制効果が確認できたが、特に日照有りの条件でアンモニア態窒素の溶出抑制効果が日照無しよりも若干大きくなった。一方で、全リンやリン酸態リンについては日照無しの条件で溶出抑制効果がやや大きかった。日照有りの条件で溶出抑制効果が高かった理由としては日照により直上水上で一次生産等が生じ見かけの溶出抑制効果が大きく出た可能性が示唆された。発電性能は日照条件による明確な差は生じなかった事からも日照による栄養塩溶出抑制効果への影響は直接的には無いものと考えられた。微生物燃料電池の発電性能変動による栄養塩溶出抑制効果への影響は、回路の開閉によって性能を変動させ評価を行った。発電性能が大幅に低下した際でも、直ちに栄養塩溶出には影響はなく堆積物微生物燃料電池による栄養塩溶出抑制効果を継続して得られた。一方で、発電性能が多く上昇した際には、底質内有機物の分解が促進され、底質の状態によっては一時的に栄養塩溶出が増大する様な傾向が得られた。これは一時的なものであり、1週間程度で栄養塩溶出抑制効果が発揮された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
堆積物微生物燃料電池による栄養塩溶出抑制ポテンシャルを明らかにすることに目的として、本年度では日照条件による直接的な栄養塩溶出抑制効果への影響がないことや、大きな発電性能の変動においても、堆積物微生物燃料電池が運転されていれば、栄養塩溶出抑制が持続することなど、その安定性を明らかとした。本来であれば昨年度実施予定であった日照条件の影響把握を本年度実施することとなったが、本年度実施予定であった内容も本年度中に実施することが可能であった。全体的な研究の進捗状況としては当初の想定通りであり、おおむね順調に進展しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
水温の変動によって生じる底質からの栄養塩溶出速度変化において、堆積物微生物燃料電池を適用した際の溶出抑制特性の変化の把握を試みる。実験実施のための器具や試薬類はおおむね準備が出来ており、効率的に実験系を構築し試験を進める。また、最終年度であるため、全体的な研究成果の取りまとめも行う。
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