研究課題
世界的に問題となっている有毒アオコの代表種であるMicrocystis属は、産生される毒素ミクロシスチンの種類や量だけでなく産生の有無も種(species)内で異なっている。また、細菌の分類に一般的に用いられる16S rRNA遺伝子では変異がないことから、より高精度なジェノタイピングに基づいて毒産生や増殖特性を明らかにする必要がある。本研究では、ホールゲノムジェノタイピング(GWGS)法を新たに開発し、Microcystis属培養株の分類と毒素産生特性の解明を目的としている。ホールゲノム解析の結果、Microcystis属0824株はmcy遺伝子群が欠損したミクロシスチン非産生株、N7株は保有する産生株であることが明らかになった。低温適応株である0824株は、著者らが以前に解析した同じミクロシスチン非産生株であるM. aeruginosa NIES-44株とは異なり、3つの非リボソームペプチド合成酵素(NRPS)を保有していた。0824株は、 NIES-44株間でも2,221の非共通遺伝子を有しており、特徴的な遺伝子構造を持つことが推察された。なお、Microcystis属0824株のWhole Genome Shotgunプロジェクトは、DDBJ/EMBL/GenBankにアクセッションNo. BDSM00000000として登録した。また、開発したGWGS法により解析した結果、Microcystis属0824株は、解析に用いた10株とはホールゲノムベースの相同性が最大でも73.7%であった。同じ八郎湖単離株である0824株とN7株との相同性は、72.1%であり、湖内での遺伝子多様性も極めて高いことから、遺伝子比較により低温適応に関する遺伝子を探索するのは難しいことが予想された。
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Journal of Water and Environment Technology
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