昨年度に引き続き、人工湿地による埋立地浸出水中の有機態窒素の除去メカニズムを明らかとするため、植栽無しの人工湿地による有機態窒素の除去能力を評価するとともに、ろ材の吸着作用および、植物体、微生物、植物-微生物共生系による除去特性を評価した。 植栽無しの人工湿地における有機態窒素の除去能力を調べたところ、除去率は26%であった。植栽有りの場合と比べて除去率が低下したことから、植物体の存在によって、人工湿地における有機態窒素の除去能力が向上することが示唆された。また、ろ材を用いた吸着試験の結果、有機態窒素の低下が確認されなかったことから、ろ材が人工湿地における有機態窒素の除去に及ぼす作用として、吸着作用は極めて低く、ろ過作用が主要であることが示された。 植物体による吸収・吸着作用、浸出水土着の微生物による分解、および植物-微生物の相互作用が有機態窒素の除去に及ぼす影響を調べるため、微生物分解を排除した無菌植物体系および、微生物分解を加味した非植栽系および植物-微生物共生系を構築し、浸出水試験を実施した。その結果、全ての系において、有機態窒素の明確な除去は確認されなかった。一方、流入水および処理水中の有機態窒素の分子量分布を解析した結果、処理水では、流入水とは異なる分子量分布を示した。特に、植物体が存在する系において、分子量分布の変化が顕著であり、低分子画分の減少に伴い、高分子画分の増加が確認された。
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