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４相を形成できる溶媒として種々の組み合わせを検討し、【イソオクタン/水/[C2mim][Tf2N]/C8以上のフルオラス溶媒】を用いることで安定な４相系を得られることを見出した。
４相抽出系に用いる抽出剤として、三座配位構造を有する抽出剤の使用を検討した。これは、以前の研究によってアミド基とカルボキシ基をエーテル鎖で結合した抽出剤(DGAA)が、様々な金属イオンに対して優れた抽出能を有するためである。本研究では、アミド基とリン酸基をエーテル鎖で結合した新規抽出剤(リン酸化アミド)を開発した。リン酸化アミドは、有機溶媒/水系アルカリ金属と白金族を除く広範な金属イオンに対して極めて優れた抽出能を有する事が明らかとなった。また、アミド基とリン酸エステルをエーテル鎖で結合した新規抽出剤（リン酸エステル化アミド）は、イオン液体/水系において優れたランタノイド抽出能と逆抽出性を両立する事を明らかにした。中性抽出剤を含むイオン液体から金属イオンの回収が可能な系は、資源回収および抽出機構の解析に極めて有用である。フルオラス溶媒/水系で用いる抽出剤として、高度にフッ素化したアミドを含む抽出剤の開発も試みたが、予定期間内に合成できず、先に有機溶媒/水/イオン液体の３相抽出系の検討を行った。
本研究で開発した抽出剤は、２相抽出系では優れた能力を発揮したものの、３相抽出系では有機相にもイオン液体相にも分配してしまい、良好な分離が得られなかった。一方、市販のPC-88Aのような嵩高い抽出剤は、有機相のみに分配し、複相抽出系の構築に有利であった。有機相に嵩高い抽出剤、イオン液体相に有機溶媒に溶けにくい抽出剤を添加することで、ランタノイド/遷移金属/白金族を一括分離できる事が示唆された。本課題では４相抽出系の構築に至らなかったが、複相抽出系による金属イオンの一括分離は、実現可能なテーマであると考えられる。
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