研究課題
病院から下水道に放流する前段階で排水処理を行うことによる医薬品成分の環境への負荷低減への効果についての考察を行うため、これまでの研究により得られた成果を基に負荷量に基づいた解析を行った。本研究では、下水処理場の流入水及び放流水と病院排水、河川水、そして水処理実験により得られた除去効率の結果から、下水処理場に流入する病院排水に由来する医薬品成分の負荷量の割合について推計するとともに、医療機関側で除去に有効な水処理技術を導入することによる汚濁負荷低減影響と、河川環境への環境リスク緩和措置効果について評価を試みた。その結果、下水処理場に流入する病院排水由来の医薬品成分の負荷割合は、平均値で0.1%以下~15%と幅広い分布をしていることが明らかになった。負荷量が高い傾向がみられた成分については、N-desmethyl tamoxifen(15%)、iopamidol(6%)、acetaminophen glucuronide(6%)、iomeprol(4%)、tegafur(2%)、bicalutamide(1%)であり、臨床現場における医薬品の適用に関係していると考えられた。なお、本研究で得られた結果を基に、対象地域に位置する病院全体が占める寄与割合を推計したところ、最大で約60%の負荷量を占める成分が存在する可能性が示唆された。一方で、河川に対する下水処理場放流水に由来する医薬品成分の割合は2%~123%であることから、排水処理工程において除去に有効な処理を行うことは、河川環境中に流入する医薬品成分の削減・低減を図る上で有効な対策になりうると考えられた。また、オゾン処理等の高度水処理を行うことで、これらの大部分は除去可能であることから、下水処理場における水処理や医療機関において、これらの処理技術の導入に向けた検討を今後試みていくことが重要であると考えられた。
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