研究課題/領域番号 |
16K16240
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研究機関 | 九州工業大学 |
研究代表者 |
大田 真彦 九州工業大学, 学習教育センター, 准教授(専門職) (80752279)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | フォレスター(現場森林官) / 林野行政 / 森林ガバナンス / 地域住民 |
研究実績の概要 |
本研究課題は、熱帯地域で、現場での森林政策の執行を行うフォレスターの活動や行動原理の実態解明を行うことを目的としている。平成28年度は主に、インドネシアにおいて、中ジャワ州の林業公社および西スマトラ州の森林管理ユニットを対象に調査を実施した。 ジャワ島の林業公社は、営林署(KPH)、営林支署(BKPH)、担当区(RPH)という階層構造をとる。末端の担当区は、主任(Mantri)と数名の現場監督(Mandor)から構成され、現場監督は、警備、植栽、伐採等の作業ごとに担当が分化している。アジア通貨危機後の大規模違法伐採・開墾への対応として、住民との共同森林管理(PHBM)を実施している。 PHBM体制下でも、森林管理計画の策定や、警備・植栽・伐採等の森林施業は、林業公社によって担われており、住民との協働での森林管理や施業は限定的であった。他方、林業公社と村落組織(LMDH)との間での林業収益の分配および使用方針は、営林署本部の担当部署と営林署内のLMDH長の協議によって毎年確認・決定され、各村落に分配された収益は、LMDH執行委員を中心に、村落の経済開発、文化発展等に使用されていた。つまり、森林管理や施業は林業公社が、分収益の使用については村落組織が行うという二重区分が見受けられ、現場のフォレスターが、実質的な協働による森林管理のファシリテーターとして行動する構造にはなっていなかった。警備の側面からは、パトロール体制が確立しており、チークの盗伐に対しては厳格な対応を取る方針であったが、盗伐は継続していた。 西スマトラ州の森林管理ユニットにおいては、人的資源と予算が極めて限られており、特定の事業にのみ絞って展開していた。また、正規職員ではなく、環境林業省のスキーム(Bakti Rimbawan)を用い、大学生等をインターンとして雇用するなどの対応を取っていた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
インドネシアについては一定の調査を実施したが、本研究のもう一つの調査地であるインドについては、今年度は予備調査を行うに留まった。インドネシアでも、予算、調査許可、現場の状況等の観点から、インドネシア外島(西スマトラ)での保護区の調査を除外し、また、アンケートの実施をより質的なものに変更した。
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今後の研究の推進方策 |
引き続きインドネシアのジャワ島で調査を行うとともに、もう一つの調査地であるインドでの調査を実施する。いずれも、現場フォレスターへのインタビューおよびアンケート調査を中心に行う。
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