本研究は、熱帯アジアで、現場での森林政策の執行を行うフォレスターの活動や行動原理の実態解明を行った。インドネシアのジャワ島のチーク林帯では、森林法の杓子定規な適用ではなく、裁量を持った法執行がなされていることが確認された。他方、この地域では、2000年代以降、林業公社の村人に対する統制力が弱まっており、フォレスターの立場からは、そもそも森林法規を適用することが、困難な場合があると推察された。熱帯のフォレスターの裁量は、政治経済的文脈の中で考察されるべきという示唆が得られた。その他、スマトラ島の森林管理ユニットでは、人的資源と予算が極めて限られており、特定の事業にのみ絞って活動を展開していた。
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