研究実績の概要 |
本研究では,1970年以降の琵琶湖保全政策の変化と変化に影響を与えた要因を定量的に明らかにすることを目的とする。具体的には,「政策の変化」として,審議会議事録のテキスト分析から審議会の議論におけるトピックの出現数(率)を算出する。また,政策の変化を目的変数,変化の要因として考えられるデータを説明変数として重回帰分析を実施し,琵琶湖保全政策の変化に影響を与えた要因を統計分析によって定量的に明らかにすることを目指している。 当該年度の成果として,1970年から2015年の期間に開催された滋賀県議会の全議題数11,272件の内,水資源政策に関する議題は3,098件(約27%)であった.また,環境保全に関する全テーマの総発言回数は13,209回であり,全テーマのうち「湖内の水質」「河川」「下水道」「琵琶湖総合開発」の出現回数が,それぞれ1778回,1164回,1086回,1038回と多く出現していた. 特に注目すべき点として,1970年から1997年までの滋賀県議会では,1972年から1997年に実施された琵琶湖総合開発に関連して下水道整備や河川整備などの社会基盤整備,ダムや堤防の建設などの治水対策,琵琶湖における水質問題などの解決・改善など,人々の生活に関わる地域開発や環境整備に関する議論が行われていた.その後,2000年から2015年以降は,マザーレイク21計画を基に,森林や農地などの水質浄化機能を持つ場所の整備など琵琶湖流域の環境を保全することで琵琶湖の水質問題などの改善を図ることを目指す内容が多く見られた。
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