研究課題/領域番号 |
16K16246
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研究機関 | 札幌市立大学 |
研究代表者 |
金子 晋也 札幌市立大学, デザイン学部, 助教 (70594224)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 住宅建築 / 北海道 / 活用実態 / 変容過程 |
研究実績の概要 |
本研究は、北海道の都市部を対象に、寒冷地の住宅建築の活用実態と空間の変容過程を明らかにすることを目的として実施した。 当該年度は、北海道の住宅建築に関する基礎的な文献を収集し、都心部の住宅建築の元型として、漁場建築、町家、商家、社宅に着目する視座を得た。一方で、住宅建築の活用実態について、1)札幌市の円山公園から大通り、2)函館市西部地区について住宅建築の写真撮影を行い、活用実態のデータベースを整理した。函館市の事例では、実測調査が可能であった木造住宅を対象に、町家型戸建住宅を評価する指標をまとめた。その成果は、「函館市西部地区における町家型戸建て住宅の構成」として札幌市立大学研究論文集に掲載予定である。 さらに、文献を整理する中で、北海道の木造住宅の構造は漁業建築との類似性が指摘されることから、北海道における住宅建築の変遷を理解する際に、比較的原始的なタイプとして羅臼町における番屋の現地調査を行った。その成果の一部は、「羅臼町カモイウンベ地区における漁業小屋の構成」として日本建築学会大会で口頭発表を予定している。 以上の成果から、北海道の住宅建築の元型について把握することができた。また、機能面では、特に既存不適格木造建築については居住性能が低いこともあり、都心部では商業的な利用が多いことが特徴としてみたれた。一部の事例ではあるが、外壁のメンテナンスを繰り返しながら住居として使用を続ける事例がみられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在までに、文献資料や現地調査で得た資料から、おおむね北海道の住宅建築の特徴とその変容過程については把握することができている。しかしながら、当初計画していた調査に加え、北海道の住宅建築の元型といえる漁業建築の資料不足を調査で補ったことで、住宅タイプの残存状況のリスト化については十分に行えていない面もある。2年目はリストのさらなる充実と、寒冷地の住宅建築に関する活用方法の体系化が課題である。
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今後の研究の推進方策 |
当該年度に実施した内容では、北海道の住宅建築について、いかにデザインするかといった計画者側からの検証が少なかったため、建築家などのヒアリング調査を実施し、その特徴を明らかにしたい。また、近年多くみられる不動産業者などが介在するリノベーションじぎょうについても、函館市ではその活動が活発である様子が現地調査によって明らかになったため、関係者へのヒアリング調査を実施したい。 さらに、並行して住宅タイプの残存状況のリスト化を早期に完成させるとともに、現地調査を継続して行う。また、上記の研究成果をもとに、寒冷地の住宅建築の実態をCAD化した図面やアクソメ図、写真を用いて分かりやすい形でまとめ、その変容過程のモデルを作成し、学生とのワークショップに具体的な住宅建築の提案を行う予定であることから、その準備を行う。
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