2017年度は、2016年度の研究活動を通じて、歴史的な文脈も踏まえた研究として方法を見直し、函館市西部地区の住宅建築を中心とした研究内容に変更した。具体的には、活用実態リストをもとに函館市西部地区宝来町、青柳町における住宅建築を対象として変容過程に関する調査を実施した。本調査では、函館市西部地区の宝来町と青柳町において、住宅建築1131件の外観調査を実施した。この2地区は、昭和9年の函館大火で被災した隣接地区であるが、宝来町は明治期には蓬莱貸座敷や芝居小屋など商業地区、青柳町は大正期に郊外として開発された住宅地区と異なるコンテクストを持つ地区として選択した。 また、住宅から転用事例に着目し事例の多くみられた函館市西部地区元町、弁天町、末広町、弥生町で札幌市立大学の学生によるまち歩きワークショップを実施した。ワークショップでは、上記の研究結果を踏まえ、共通の調査項目を記載した調査シートを事前に作成し、3グールプで実施し、具体的な所有形態や増改築の変容過程を把握した。成果としては、元町30件、弁天町38件、末広町13件、弥生町4件の調査シートが得られた。宝来町と青柳町における調査結果とワークショップの結果については、論文投稿を予定している。 計画当初は情報をホームページなどにより公開し積雪寒冷地住宅の具体的な指針となることを目指していたが、期間内には情報公開に至らなかったため、研究終了後に構築する予定である。
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