研究実績の概要 |
超高齢社会や生活者の高い安全性への要求といった点から事故が起きない安全な空間計画のために、多くの場面でものの見易さ予測が利用されるに違いない。波長特性が眼球内散乱光に影響を与えることから、当該年度では、光源に昼白色蛍光ランプとモニターを用いた場合の検討において、中心窩へ重畳する眼球内散乱光量を算出する。既往研究との比較を考え、高視力若齢者を対象として被験者実験を実施している。 実験は輝度差弁別閾の測定である。実験方法は、暗室内に27.0 型液晶モニターに呈示する円形視標と半径5.1°の近接背景、5400cd/m2 とした高輝度光源(昼白色ツイン蛍光ランプ)を設置する。高輝度光源の立体角0.0015sr であり、カラーフィルターで光色を変える。視標と近接背景は高輝度光源のいずれの光色条件においても白色である。近接背景輝度は0.2~300cd/m2 の9 条件、視標半径は4~128'の6 条件、高輝度面光色は青, 緑, 黄, 赤, 白の5 条件である。被験者は両眼視力1.2~1.5の若齢者5名である。 中心窩への眼球内の散乱光量は、高輝度光源を提示する場合と呈示しない場合と輝度差弁別閾値から算出する。今回の検討と、同じ装置で実施している両眼視力約0.8以下の若齢者および高齢者に対する既往研究から眼球内散乱特性において光色間に有意な差がみられない。この傾向は両眼視力や年齢による違いはみられない。また、高輝度光源の最大出力波長もしくは放射輝度、三刺激値XYZ、表色値u'v'と眼球内散乱光量との関係においても明確な関係性が表れない。視標や近接背景を白色蛍光ランプによる透過光で実施した既往研究では最大出力波長順となり、傾向が異なることが示される。
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