前年度は開発環境の構築を行い,その後いくつかの操作の構築を行った.今年度は前年度できていなかった操作の実装と組み合わせ操作の実装を行った. 今年度実装した操作はマッピングとなでる操作である.マッピングは幾何学的に布モデルの形状を算出し瞬時に貼り付けを行う操作である.実際の立体裁断では布目に合わせて布を張りつける作業がある.前年度実装した留める操作では効率が悪く正確性に問題があったため,マッピング操作を追加した. なでる操作は布モデルを人台モデルになじませるまたは沿わせるための操作である.この操作は布モデルと手のモデルとの距離を算出し,その距離により手のモデルが布モデルに触れているかどうかを判定する.手のモデルに最も近い箇所が手のモデルが布モデルに触れているところとし,触れている箇所の布モデルの質点を移動させた.手の移動する方向を取得し,その方向と同様の方向に布モデルの質点を移動させた.この操作は片手のみで行い,もう一方の手はなでる操作の開始と終了の指示をジェスチャにて行う. 各操作を一連の流れで操作できるように組み合わせ操作の実装を行った.各操作はジェスチャにより切り替わる. 実装の結果,各操作を実装し組み合わせて操作を実行することができた.しかし,操作が複雑すぎると布モデルの計算が収束せず布モデルの形状が不安定となってしまった.布モデルのパラメータを調節することにより布モデルが安定すると思われる.また,より安定なモデルを採用することでもこの問題は解決できる.本研究で実装した操作は実際の立体裁断に必要な基本的な操作であり,これらの操作を一連の流れで操作できたことから,本方法を用いて仮想立体裁断を確立できる可能性が示唆された.
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