研究課題/領域番号 |
16K16265
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研究機関 | 県立広島大学 |
研究代表者 |
山縣 誉志江 県立広島大学, 人間文化学部, 助教 (40634150)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 嚥下調整食 / とろみ / 粘度 / 嚥下障害 |
研究実績の概要 |
日本摂食嚥下リハビリテーション学会は、嚥下障害者に提供するとろみの段階として、嚥下調整食学会分類2013(とろみ)を示している。その中に示された簡易的な粘度の評価方法であるLST(Line Spread Test)は、ヒトの粘性感覚や機器による粘度測定結果を反映しない場合があることを既に報告した。本研究では、より適切な粘度の簡易測定方法の確立を目的としている。平成28年度は、とろみ調整食品および溶媒を様々に変化させ、どのようなとろみの測定でLSTが有用であるのかを網羅的に検証した。 とろみ調整食品の原材料がキサンタンガム系のとろみ調整食品3種類、グアーガム系1種類、でんぷん系1種類を用いた。溶媒には、蒸留水、1%食塩水、お茶、オレンジジュース、栄養剤を用いた。また、20℃および50℃と2種類の温度で測定を行った。粘度測定方法およびLST測定方法は、学会分類2013(とろみ)に示された方法に準じた。 学会分類の基準を作成するときに使用された水にキサンタンガム系のとろみ調整食品を添加して作製したとろみであっても、LSTで評価された段階が、粘度測定で評価された段階と異なることがあることがわかった。グアーガム系のとろみ調整食品では、どの溶媒においてもLSTで学会分類2013(とろみ)の段階を評価することができないことが示唆された。溶媒による影響では、栄養剤でグアーガム系のとろみと同じ傾向が見られた。また、各温度で同じ粘度に調整したとろみでも、50℃でLSTの結果が高くなることがわかった。以上の結果から、キサンタンガム系のとろみ剤、溶媒は水、温度は20℃という条件から乖離するほど、LSTによる学会分類2013(とろみ)の段階評価が難しくなる傾向が見られた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成28年度に予定していた、どのようなとろみの測定でLSTが有用であるのかの網羅的な検証を完了した。現在、別の簡易法を検討中である。そのため、おおむね順調に進展していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
我々の先行研究および平成28年度に得られた研究成果より、さまざまな種類のとろみをLSTで評価するのは困難であることが示された。平成29年度は、LSTとは別の方法による簡易測定方法を検討する。現在IDDSI(International Dysphagia Diet Standardisation Initiative)で用いられているシリンジを使った簡易粘度評価方法について検討する。
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