頚部筋には,嚥下機能に加えて頭頚部の姿勢保持,呼吸という3つの機能があり,姿勢保持が何らかの原因により努力的となれば,嚥下機能が阻害される可能性がある。そこで本研究ではまず,円背を始めとする不良座位姿勢を代償するために,頚部筋の筋活動量がどのように働いているかについて検討した。その結果,円背がある高齢者では,頚部を前方へ屈曲させることで座位姿勢を保持し,これに伴い頸部の筋活動が増大していた。次に不良座位姿勢が嚥下時の舌骨上筋群の活動にどのように影響しているのかについて検討を行った。その結果,頸部が前方傾斜した座位姿勢は嚥下筋であるオトガイ舌骨筋の筋活動を妨げていることが明らかになった。
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