研究課題/領域番号 |
16K16271
|
研究機関 | 佐賀女子短期大学 |
研究代表者 |
小島 菜実絵 佐賀女子短期大学, その他部局等, 講師 (70412559)
|
研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
|
キーワード | 幼児 / 食育 / 食事環境 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、幼児を持つ保護者に向けた、幼児期の発達状況に即した幼児食フロチャートの作成である。幼児食フローチャート作成にあたり明確にしたい内容は、幼児の発達状況とその発達状況毎で違いが認められる摂食能力、味覚、そして嗜好などとの関係を明確にすることである。 平成28年度は、前述の項目を明確するため、以下の調査を中心に活動した。①対象幼児保護者への、幼児の発達状況および食事環境調査(アンケート)。②事前調査:幼児食人気メニュー調査。③選抜したメニューの喫食量調査(秤量調査)。④①および③の結果の統計解析。 ③で調査したメニューにおける喫食率からは、③-1人気メニューを割り出し、③-2メニューの解析を行い、塩分、糖分、酸濃度、そしてテクスチャーの特徴を明確にした。人気メニューの割り出し(③-1)では、汁ものや汁気の多い主食メニュー、および肝臓などを含む「くせ」や「臭み」のあるものが下位で認められる傾向があった。また、酸味の強いメニューについては、事前アンケートでは不人気メニューとして挙げられていたが、配食量自体が少ないことや、少量盛り付けなどによる工夫から、調査では中位程度であった。このように、幼児期の喫食量については、食事の味付けやテクスチャー以外の要因も大きく関わっていることが推察された。一方で、メニューの特徴解析(③-2)では、残食率と塩分および糖分濃度との関係が認められたが、テクスチャーにおいては現在の解析状況では関係性は認められなかった。 ①の調査結果については、未満児を除き今回の調査項目で有意差が認められるものはなかった。その一方で、食事環境においては、年齢における差や、回答項目への偏りが認められた。 平成28年度においては、幼児食フロチャート作成に必要な発達状況と摂食状況との関係性を見出すための特徴を明確にすることができた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成28年度において計画していた内容は、①幼児の発達状況および食事環境、②人気メニューの選抜、③調査メニューにおける喫食量による人気メニューの割り出し、および特徴解析、④ ①と③との関係性を見出す、ことである。 ①については、アンケート調査とし、回収、集計、統計解析が終了している。②については、保育園従事保育士および給食担当者への人気メニュー調査をアンケートにより実施し、調査メニューの選抜も終了している。③については、選抜した全メニューの秤量による喫食量調査を実施し、集計および統計解析までを終了している。また、メニューの特徴解析についても、全メニューの解析を終了し、集計および統計解析まで終了した。 予定していた内容は概ね実施できているが、③については当初の予定と変更および追加がある。秤量調査については個人での調査を予定していたが、保育時間への影響があり、クラスでの実施とした。また、特徴解析では、酸度の追加解析と、測定した値のみでなく、献立から算出した塩分および糖分濃度の追加解析を実施することとした。この点については、献立からの塩分および糖分濃度を算出しているところであるが、その他は終了している。
|
今後の研究の推進方策 |
平成28年度で明確にした各年齢における喫食状況、嗜好などを考慮した、「メニューの考案」とその「メニューの提供における喫食量調査」を実施し、喫食量への影響を検討する。 また、研究の目的にある発達状況に即したフローチャートの作成について変更を考えている。今回の実施にあたって、喫食量調査が個人で行えなかったこと、発達状況の調査項目において、以上児の年齢間で有意差が認めらえなかったことから、「発達状況に即した」検討は難しいと考えている。したがって、「嗜好および食事環境などに即した」フロチャートの作成への変更を考えている。前述した考案するメニューについても、その点を考慮した内容で検討していく予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
翌年度分に追加し購入する必要性のある物品が生じたため。 平成29年度において予定していたフロチャートの作成およびその成果発表において、子どもの料理教室や幼児保護者への講演の必要性もあると考えている。その媒体作成にあたり、スペックの高いパソコンが必要となることから、翌年度分に追加するために、当該助成金が生じた。
|
次年度使用額の使用計画 |
平成29年度において予定していたフロチャートの作成およびその成果発表において、子どもの料理教室や幼児保護者への講演の必要性もあると考えている。その媒体作成にあたり、スペックの高いパソコンが必要となることから、翌年度分に追加するために、当該助成金が生じた。
|