幼児期の食事に関する生理的側面および嗜好性を考慮した食事の提案を可能とするべく、給食の秤量調査およびメニューの解析を実施した。濃い味付けにより「おかわり」が増えていることから、食欲を増加させることで「小食」に対する対策に繋がるとも考えられたが、「食べ残し」の原因ともなっていることが推察された。したがって、「食いつき」も良くなることが推察され、一時的な「好き嫌い」「偏食」対策にも繋がるのではないかと考えた。この特徴は、喫食率が低かった年少クラスで顕著に見られた。その塩分濃度は成人の3割程度薄い0.6~0.8%程度であった。糖度および酸度については、メニューによって異なる傾向を示したが、今回調査したメニューの中では薄めを好む傾向にあった。テクスチャーは、主食や主菜など分類により異なるが、軟らかいものを好む傾向が見られた。 最終年度の実施内容は、秤量調査(追加、不人気メニューにおける新メニュー提案)、結果のまとめ、調査結果を踏まえた調理や試食を伴う体験型の育児支援、論文執筆である。 秤量調査の不人気メニューにおける新メニューの提案では、有意な喫食率等の改善は認められなかった。解析結果を考慮したレシピの提案であったが、調理の作業工程等による影響を受け、想定した調味%とならなかったことが原因として考えられた。また、調査期間中の観察より、喫食状況に影響する因子として、味やテクスチャー以外に食事環境や成長についても検討する必要があると感じた。これらが、秤量調査結果の喫食状況に与えた影響については、文献等による検討を行った。 体験型の育児支援では、調査結果で得られた塩分濃度に調整した味噌汁の試飲を実施し、乳幼児の保護者に体感してもらった。さらに、発達状況に合わせた調味%の調理実習についても同時開催した。
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