研究課題
十分なたんぱく質の摂取は、身体的フレイルのリスクに対し予防的な効果をもたらす可能性についていくつか報告されている。一方、包括的(身体的・社会的・心理的)フレイルとの関連については明らかになっていない。そこで、高齢者におけるたんぱく質摂取量と基本チェックリスト(KCL)を用いて評価した包括的フレイルおよびサブドメイン(7項目)との関連について検討した。解析には、京都府亀岡市で実施されているKyoto-Kameoka Studyのベースライン調査参加者のうち、基本チェックリスト欠損者およびエネルギー摂取量過小・過大申告者を除外した者を解析対象者として使用した。たんぱく質摂取量の把握には、食物摂取頻度調査法(FFQ)を用いて46食品の習慣的な摂取頻度(ほとんど食べない~毎日3回以上の8カテゴリー)について調査し、たんぱく質摂取量を推定した。フレイルとサブドメインの評価には、日常生活圏域ニーズ調査票に包含される基本チェックリスト25項目を用い、4~6項目該当したときプレフレイル、7項目以上該当したときフレイルと評価した。男女ともに、たんぱく質摂取量が多いほど包括的フレイルと判定されるオッズ比が有意に低下した。サブドメインとの関連では、たんぱく質摂取量が多いほど、男性では社会性・閉じこもり及び抑うつのオッズ比が有意に低下し、女性では運動障害、口腔機能、認知機能問題のオッズ比が有意に低下した。たんぱく質摂取量は、包括的フレイルにおいてもリスクを低下させる可能性が示唆された。また、たんぱく質摂取量といくつかのサブドメインとの関連には性差が認められ、男性は社会的フレイル、女性は身体的フレイルの影響を受ける可能性が示唆された。[J Am Med Dir Assoc. 2018;19(9):801-805.]
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Journal of the American Medical Directors Association
巻: 19 ページ: 801~805
10.1016/j.jamda.2018.04.005