本研究の目的は、第一に、日本人の子どもが実際に摂取しているリン量を明らかにすることである。その上で、食品成分表を用いた一般的な食事調査法では過小に評価されるリン量を算出することを目的としている。 申請者らは、平成25年度に全国4件の公立小学校19校に在籍する小学校5年生約1500名に対して、食事記録法および写真記録法の併用により、平日2日間および休日2日間計4日間の食事調査を行った。またその保護者に対して世帯年収に関するアンケート調査を実施した。本研究では、このうちC県で得られた結果より、学校給食のない休日2日分の食事310名/日×2日分について検討した。 食事記録に出現した料理7310料理を摂取された食事区分、また、料理区分(主食、主菜、副菜、牛乳・乳製品、果物、菓子、嗜好飲料、茶、その他)毎に抽出し、出現頻度を算出した。料理区分毎に出現頻度が1.0%以上の料理について、食品添加物としてリン酸を含有している可能性のある料理117点をスーパーマーケットおよびコンビニエンスストアにて購入した。料理毎にリンおよびカルシウム含有量を、(財)日本食品分析センタ-に依頼して測定した。製品にエネルギー、たんぱく質、脂質、炭水化物、ナトリウム量の表示がない料理については、追加でこれらの測定も依頼した。料理の購入および測定は、ロット番号の違うものを2種、別日に購入して別々に測定した。なお、複合料理に関しては、可能な限り分けて各々測定した。 117料理の平均リン含有量の測定値は133.3 mg/100 g、平均カルシウム含有量の測定値は99.9 mg/100 gであった。また、リン/たんぱく質比は17.4 mg/gであった。今後、食品成分表を用いて各料理を栄養価計算し、分析値と比較する。また、家庭の経済状況や料理の購入価格等を用いて、経済状況と過小評価されるリン量の関係について検討する。
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