研究課題/領域番号 |
16K16290
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研究機関 | 日本女子大学 |
研究代表者 |
今井 敦子 日本女子大学, 家政学部, 助教 (00580086)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 母子栄養 / 高脂肪食 / アレルギー炎症 / 加齢 |
研究実績の概要 |
免疫機能は加齢により特徴的な変化(獲得免疫機能の低下、自己抗原に対する反応性及び炎症素因の増大)を示す。この中で特に炎症素因の増大はアレルギー炎症の増悪や、感染症や癌等の高齢期に増加する疾患の発症や病態形成に影響する。 本研究では母マウスの食餌誘導性肥満が仔マウスの加齢による免疫機能の変化に及ぼす影響を検討した。妊娠前から授乳期まで高脂肪食(または普通食)を摂取させた母マウスから生まれたメスの仔マウスを離乳後にそれぞれ高脂肪食または普通食を摂取させる2群に分け、計4群として17ヶ月齢まで飼育した。若齢コントロール群として解剖時3ヶ月齢の群を設定した。 若齢コントロール群との比較において、加齢により内臓・皮下脂肪重量の増加、腓腹筋重量の低下が生じたが、血清アディポネクチン値は増加した。加齢による免疫機能変化において特に重要な役割を果たすT細胞についてはT細胞比率、ナイーブ/メモリー比率は低下、制御性T細胞比率、PD-1陽性メモリーフェノタイプ(MP)T細胞比率、NKT細胞比率は有意に高値を示した。 これらの加齢による変化の中で母マウスの食餌誘導性肥満により更に増強された項目は、PD-1陽性MPT細胞比率であり、母マウス及び仔マウスの食餌誘導性肥満により有意に高値を示した。一方、加齢変化とは逆の影響を受けた項目は血清アディポネクチン値、体脂肪率、NKT細胞比率であり、母マウスの食餌誘導性肥満により有意に低下した。血清アディポネクチン値の低下、PD-1陽性MPT細胞比率の増加より、母のマウス食餌誘導性肥満は仔マウスの加齢による炎症素因の増大を助長する可能性が示唆された。またこの変化は体脂肪量の増加に伴うものではなかった。 仔マウスの食餌誘導性肥満は加齢による影響と類似しているが、母マウスの食餌誘導性肥満は加齢による変化パターンとは異なる影響を及ぼすことが示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
母マウスの食餌誘導性肥満による仔マウスでのT細胞サブセット比率の変化は脂肪組織機能による影響を受けている可能性があるが、当初予定していた脂肪組織の組織学的評価が未実施であるため。
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今後の研究の推進方策 |
加齢仔マウスについて脂肪組織の組織学的評価、変化したT細胞サブセットの機能評価を実施する。 前年度までに実施した新生児期、若齢期、中年期の結果と合わせて母のマウス食餌誘導性肥満が仔マウスのアレルギー炎症に及ぼす影響を解析する。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初予定していた脂肪組織病理標本の作成及び評価を実施するため。
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