前年度のパイロット研究を受けて、今年度はビタミンD欠乏判定のための簡易質問票を作成した。2017年8月~2018年8月に近畿圏在住のボランティア785名に対し、血清25(OH)D濃度の測定および日照状況や魚摂取頻度を含むアンケートを採取した。ビタミンD栄養状態に関連する疾患有病者、ビタミンDサプリメント服用者、データ欠損のある者を除外した649名を解析に用い、これら対象者を無作為に質問票作成用群(n=434)、妥当性検証用群(n=215)に分けて検討した。 対象者全体におけるビタミンD欠乏者(25(OH)D<20 ng/mL)の割合は54.1%とこれまでの日本人を対象とした報告とほぼ同様であった。作成用群にて、ビタミンD欠乏有無に対する多変量ロジスティック回帰分析を行ったところ、年齢(40歳未満)、性別(女性)、採血の季節(秋または冬)、運動習慣(全くしない)、この12ヶ月間の日焼けの経験有無と日焼け止め使用有無の合成変数(日焼け無しかつ日焼け止め使用有り)、この3ヶ月間の日照頻度(全くない)、ビタミンDを多く含む魚の摂取頻度(週2回未満)が有意な寄与項目となった。この有意寄与項目のβ係数を用いたスコアリングを行ったところ、54点満点となった。曲線下面積によるビタミンD欠乏判定能は、作成群および検証用群で0.78 (95% CI 0.74-0.82)および0.75 (95% CI 0.69-0.82)と比較的高値であった。次に、検証用群にて、質問票スコア五分位別によるビタミンD欠乏の予測確率と、実際のビタミンD欠乏者割合を比較したところ、両者に乖離はなく、質問票の妥当性が確認できた。さらに、ビタミンD欠乏のカットオフ値を検討したところ31点となり、その時の感度・特異度は61%・79%、陽性・陰性的中率は81%・57%であった。なお、この内容を学術論文にて報告した。
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