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2017 年度 実施状況報告書

食事を利用した新規経口免疫療法の開発

研究課題

研究課題/領域番号 16K16293
研究機関武庫川女子大学

研究代表者

前田 晃宏  武庫川女子大学, 生活環境学部, 助手 (30735014)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2019-03-31
キーワード食物アレルギー / 経口免疫療法 / 酵素加水分解卵白
研究実績の概要

平成29年度の研究では、市販の酵素加水分解卵白の経口免疫療法に対する有効性の検討を実施した。酵素加水分解卵白には,キユーピー社製のペプチファイン(PF)を使用した。
飼料は20%カゼイン食を基本とし、添加抗原はPFと同社製の乾燥卵白を使用した。卵白アレルギーモデルマウスは、Balb/c雌マウスを卵白とAlumで感作し、経口惹起し作製した。モデルマウスを非治療群、卵白群、PF群の3群に分けた。感作を行わないマウスを非感作群とした。OITは、卵白群に1%乾燥卵白添加飼料を、PF群に1%PF添加飼料を与え4週間飼育した。寛容指標は、経口・腹腔負荷試験後の直腸温低下と下痢頻度、血管透過性、脾リンパ球培養上清中サイトカイン産生量 (IFN-γ, IL-4, IL-10) と脾リンパ球CD4+Foxp3+細胞比率、血漿オボアルブミン (OVA)・オボムコイド (OM) 特異抗体価を測定した。
経口負荷試験後の直腸温低下と下痢頻度で、アレルギー群間に差は認められなかった。また、血管透過性も同様の結果であった。腹腔負荷試験で、非治療群に比べ卵白群とPF群は有意に直腸温低下が抑制された。IL-4産生量は、非治療群に比べ卵白群とPF群で有意に低値を示した。IFN-γとIL-10産生量は、アレルギー群間に差は認められなかった。CD4+Foxp3+細胞比率は、PF群のみ非治療群に比べ有意に高値を示した。OIT終了時点のOM特異IgE濃度は、非治療群に比べ卵白群とPF群で有意に低値を示した。また、卵白群のOVA及びOM特異IgA濃度は、OIT期間を通じて非治療群より有意に高値を示した。
PFは市販乾燥卵白と同等の治療効果を示したが、その寛容機構は市販乾燥卵白とは異なることが示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

平成29年度の研究において、市販の酵素加水分解卵白であるペプチファインは経口免疫療法の治療食品として有効であると示唆された。さらに、このペプチファインを用いた経口負荷試験を卵白アレルギーモデルマウスに実施した結果,下痢や直腸温の低下といったアレルギー反応が誘発されることはなかった。
以上の結果より、凍結乾燥卵白や市販乾燥卵白よりもアレルギーを誘導しにくい安全な治療食品であると示唆された。
従って、平成29年度の研究は概ね順調に進んでいる。

今後の研究の推進方策

当初の計画では、加熱処理卵白添加食を利用した経口免疫療法の有効性検討を実施する予定であった。しかし、加熱処理卵白を用いた経口免疫療法は、動物だけでなくヒト介入試験でも有効性が報告されている。そのため、加熱処理卵白添加食を用いた経口免疫療法の実施は見合わせることとした。
それと引き換えに、制御性T細胞の抑制が経口免疫療法の効果を減弱させるかを動物モデルで実験を行うこととした。過去2年の研究成果や他の報告より,経口減感作に制御性T細胞の分化亢進が関わっていることが示唆されている。しかし、制御性T細胞の抑制が経口免疫療法の効果を減弱させるかについては明らかとなっていない。
そこで、制御性T細胞の抑制モデルを作成し、経口減感作が抑制されるかを検討する。この実験に関しましては、動物飼育は平成29年度末に終了しており、平成30年度は実験で得られた検体の分析と解析を実施する予定である.

次年度使用額が生じた理由

平成29年度末に受理された論文の掲載料が未支払いのため。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2017

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 卵白アレルギーモデルマウスの卵白含有食餌摂取が経口免疫療法に及ぼす影響2017

    • 著者名/発表者名
      前田晃宏
    • 学会等名
      第71回日本栄養・食糧学会大会

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公開日: 2018-12-17  

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