研究実績の概要 |
平成28-29年度の結果より、1%抗原添加飼料によりアレルギー重症度が改善した。さらに、制御性T細胞を反映するCD4陽性Foxp3陽性の上昇が治療効果に関連することが示唆された。そこで、制御性T細胞の抑制が経口免疫療法の効果を減弱させるかについて検討した。 飼料は20%カゼイン食を基本とし、経口免疫療法は1%凍結乾燥卵白添加飼料で行った。卵白アレルギーモデルマウスは、Balb/c雌マウスを卵白とAlumで感作し、経口惹起し作製した。モデルマウスを非治療群、治療群、治療+Anti-CD25群の3群に分けた。感作を行わないマウスを非感作群とした。治療期間は2週間とした。制御性T細胞の抑制はAnti-mouse CD25 (PC61) の腹腔投与で誘導した。寛容指標は、経口・腹腔負荷試験後の直腸温低下、脾リンパ球培養上清中サイトカイン産生量 (IFN-γ, IL-4, IL-10) と脾リンパ球CD4陽性CD25陽性細胞並びにCD4陽性Foxp3陽性細胞、血漿中抗原特異抗体価を測定した。 その結果、治療2週間後の経口負荷試験において、治療群は非治療群と比較して有意な直腸温低下の抑制が認められた。しかし、治療+Anti-CD25群と非治療群との間に有意差は認められなかった。腹腔負荷試験では、治療群と治療+Anti-CD25群は共に、非治療群よりも直腸温低下の抑制が認められた。脾リンパ球解析において、治療+Anti-CD25群のCD4陽性CD25陽性細胞比率は、他の群よりも有意に低値であった。CD4陽性Foxp3陽性細胞比率は、高い順に治療群、非治療群群、治療+Anti-CD25群であった。サイトカイン産生量及び血漿抗体価は、治療群と治療+Anti-CD25群で大きな違いは認められなかった。 1%抗原添加飼料による免疫寛容には、制御性T細胞の誘導が関与していることが示唆された。
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