研究課題
本研究は、日本人健常妊婦のコホート研究による妊娠中の栄養摂取量と身体活動量を含めた生活習慣が母児の健康に及ぼす影響について検討した。平成28年度は、初診時臨床パラメータを用い、妊娠後期における妊娠糖尿病発症予測能の検討を行い、妊娠初期HbA1cと空腹時血糖の両者の同時測定は、妊娠糖尿病発症予測能を高められる可能性を見出した。妊娠時特有の生理的変化を考慮した、妊娠初期におけるHbA1c値正常範囲検討の必要性を示し、その成果は第70回日本栄養・食糧学会大会にて発表、研究の新規性に着目され、当該学会大会プレスリリーストピックス演題に選定された。平成29年度は、近年注目されている食事における炭水化物のエネルギー比に着目し、妊娠中のエネルギー摂取量に占める炭水化物エネルギー比と妊娠中の耐糖能異常発症リスクを検討した。その結果、炭水化物エネルギー比が高い群(炭水化物60%)において、低い群(炭水化物50%未満)に比し、耐糖能異常発症リスクが低い可能性を見出し、耐糖能異常発症予防の観点からは、妊娠中の食事では、炭水化物からのエネルギー摂取を控える必要はないことを明らかにした。この成果を執筆した英文原著論文は、糖尿病専門の国際誌であるDiabetes/Metabolism Research and Reviewsに掲載されるとともに、一般の妊産婦を対象とした教育講演会にてその成果をフィードバックし、社会に還元することができた。平成30年度は、栄養素摂取状況から、さらに細分化した食品摂取量に注目し、各食品群別摂取量と母児の健康障害との関連について検討した。その結果、菓子類摂取量が多い群では、野菜、魚介類のエネルギー比率が有意に低く、低出生体重児出産リスクと関連があることを見出し、日本臨床栄養学会にて発表、奨励賞を拝受するとともに、研究成果を社会にフィードバックできる機会を得ることができた。
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