研究課題/領域番号 |
16K16297
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研究機関 | 仁愛大学 |
研究代表者 |
坂本 達昭 仁愛大学, 人間生活学部, 講師 (80710425)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 共食 / 食事の楽しさ / quality of life / 中学生 |
研究実績の概要 |
共食の重要性は社会的に認識され,健康日本21(第2次)では,食事を1人で食べる子どもの割合を減少傾向とすること,第3次食育推進基本計画では,朝食または夕食を家族と一緒に食べる「共食」の回数を週に11回以上にすることを目標としている。しかしながら,保護者の勤務形態等によっては共食回数を増やすことが困難な家庭もあり,共食の質を高める方が実行可能性は高いと考えられる。 そこで初年度は,朝食の共食機会がほとんどない中学生の中でQOLが良好な生徒に着目し,その者の家族との食事のあり方の特徴について検討した。それにより多くの家庭に共通する朝食の共食機会が少ないという課題に対する示唆を得ることができた。 朝食の共食機会がほとんどない中学生においてQOLが良好な者の特徴としては,夕食の共食頻度が高いこと,食事中に家族が話をよく聞くこと,食事中に家族が子どもを怒ったり注意したりする頻度が低いことが明らかとなった。また,中学生自身が家の食事を楽しいと感じていることも確認された。食事を楽しいと感じることや食事中の明るい雰囲気は,子どもたちの健康な食生活やQOLに好ましい影響を与えている可能性がある。食生活の面からQOLを向上させるには,毎日の食事に楽しさが伴っている必要があり,本研究の結果からも改めて食事を楽しむことの重要性が確認された。 以上の結果から,今年度の研究計画に位置づけた,共食の質の向上に関する食習慣の一部を明らかにすることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度は,当初の計画通り,Positive Deviance Approachの考えを参考にして,朝食の共食機会がほとんどないという食生活課題を有する中学生の中でQOLが良好な生徒に着目し,特徴的な食習慣を見出すことができた。 また,上記の研究成果は,論文投稿中である。
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今後の研究の推進方策 |
初年度は,共食の頻度が低い家庭に着目し,QOLが良好であることと関連する食習慣の一部を明らかにした。今後の研究としては,中学生を対象にQOLが良好であることと関連するその他の,食習慣および食環境について研究を進める予定である。 研究成果は関連学会等で公表する。
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次年度使用額が生じた理由 |
昨年度は,当初予定していたよりも多くの学生を受けもったため,卒業研究を兼ねて研究を行うことで人件費を必要としなかった。また,予定していた栄養改善学会(青森)には公務により出題できなかったことがあげられる。
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次年度使用額の使用計画 |
進捗状況によっては,研究期間を延長することも考え,研究費を合理的に活用する。
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