はじめに,朝食の共食機会がほとんどない中学生の中で,QOL(Quality of Life)が良好な者の家族との食事のあり方の特徴を明らかにすることを目的として,一昨年度に実施した調査の解析を行った。質問項目は,属性,家族との食事のあり方,家の食事の楽しさならびにQOLとした。家族との食事のあり方については,朝食および夕食の共食頻度,平日および休日の夕食の食事時間,食事中に家族が話を聞く程度,食事中に注意される頻度等をたずねた。解析の結果,朝食の共食機会がほとんどない中学生において,夕食の共食頻度が高いこと,食事中に家族が話をよく聞くこと,家の食事を楽しいと感じていることは,QOLが良好な者の特徴であることが示唆された。 次に,メディア機器が広く普及している現在,食事中のテレビ視聴,スマートフォン,パソコン,タブレット端末等(以下,スマートフォン等とする)の利用は,食事の楽しさに好ましくない影響を与えている可能性があるため,家の食事の楽しさと中学生ならびに保護者の食事中のスマートフォン等の利用の関連を検討した。分析の結果,男子の食事の楽しさには母親が食事中にスマートフォン等を利用しないこと(調整オッズ比(AOR):2.60,95%信頼区間(95%CI):1.29-5.25)が関連し,女子は父親が食事中にスマートフォン等を利用しないこと(AOR:2.29,95%CI:1.15-4.57),夕食の共食頻度(AOR:2.62,95%CI:1.37-5.04)が関連していたことから,保護者は食事中にスマートフォン等の利用を控えるべきであることが示唆され,家庭の食事の楽しさや共食の質を向上させるための知見が得られた。
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