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2017 年度 実施状況報告書

疫学研究と実験研究による食塩摂取の糖尿病発症・増悪に対する影響の検討

研究課題

研究課題/領域番号 16K16300
研究機関久留米大学

研究代表者

中尾 元幸  久留米大学, 医学部, 准教授 (60610566)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2019-03-31
キーワード糖尿病 / 高血圧 / 食習慣 / 合併症予防 / 生活習慣 / 健診
研究実績の概要

疫学研究と実験研究により、食塩摂取による糖尿病発症、増悪のメカニズムを明確にし、糖尿病予備軍の発症を予防する適切な塩分摂取量の設定を目指している。疫学研究については健診センターより既存の健診(人間ドック)データの提供を受けた。同データには血液検査やCT検査等の臨床検査データ、既往歴、家族歴、食事行動や運動等の生活習慣に関連するデータやストレス等に関するデータが含まれる。昨年度より収集するデータを既存の健診データに絞り、対象人数の増加を目指した。その結果、当初予定を大幅に上回る、58.9万件あまりのデータを得ることができた。同データは多くの内容を含むが、取り急ぎ、糖尿病(医師の診断、血糖値、ヘモグロビンA1c等)および高血圧(医師の診断、収縮期血圧等)と、食事行動(食習慣、食事摂取頻度調査票)の内容についてデータを抽出し、最近5年間のデータについて解析を行った。主な結果として、糖尿病患者においては高血圧を合併していることが多く、減塩が推奨されていると考えられる。実際に主観的な食事行動では特に男性の糖尿病患者で、より塩分摂取を控えるような食事行動をとっていると回答している者の割合が多かったが、食事摂取頻度調査票から推定された塩分摂取量は、逆に糖尿病患者で多いという結果であった。この結果はカロリー、炭水化物、脂質などについては主観的な食事行動と推定摂取量が同じ傾向を示していたのとは対照的であった。実験研究については動物実験で糖尿病モデルマウスの飼育を通常飼料下で行い、糖尿病関連の指標を追跡しており、食事行動と糖尿病合併症、特に高血圧との関連について、疫学研究の結果と絡めて検討する予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

疫学研究については現在約60万件のデータを解析する手法を検討中である。データ件数とともに、1件ごとのパラメータが非常に多いため、全てのデータを一括で解析するのは現状、困難であるが、データ自体は概ね揃っている。
実験研究に関しては、実際のヒトにおける2型糖尿病の病態―本研究において取り上げているような比較的マイルドな病態―を再現できていない。特に通常飼料を用いて、糖尿病を発症し、血圧の上昇を追跡できるようなモデルの再現が困難な状況である。

今後の研究の推進方策

疫学研究については大量のデータを一括で処理できるような手法を検討するとともに、ターゲットを絞った解析を行う。すなわち、糖尿病とその合併症―網膜症、心血管疾患、神経障害、腎症(特に高額な医療費との関連から腎症)―に関連する項目を抽出し、コンパクトなデータセットとして解析を行う。或いは、過去20年分の健診データを保有しているので、数年ごとの区分で層別化して解析するといった手法を検討している。
実験研究に関しては、糖尿病モデルマウスにおいて、通常飼料下での再現が困難であれば、高脂肪食や塩分負荷といった介入を行ってヒトでの病態を再現する手法を検討しているが、過度な介入は実際のヒトにおける病態への外挿の妥当性についての問題が生じるため、慎重な検討が必要である。

次年度使用額が生じた理由

(理由)
実験研究において、糖尿病モデルマウスを用いた動物実験系の予備検討を引き続き行っているが、予定した通りの病態が再現できず、また想定したよりも病態の進行が緩慢であり、実験の1クールの期間が長くなったため、動物実験に使用する予定であったマウスの購入資金や実験試薬の購入資金を予定通り使用しなかった。
(使用計画)
実験研究において、当該年度に終了させることができなかった動物実験の解析用試薬や実験動物の購入資金、或いはin vitro実験系の試薬の購入資金として用いることを検討している。また、当該年度分の健診データの購入も対象人数が増加した分、関係費用が発生する状況から、繰り越した予算をデータ授受、または解析の費用として使用することも検討する。、

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2017

すべて 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件)

  • [学会発表] Dietary behavior characteristics of the patients with type 2 diabetes mellitus2017

    • 著者名/発表者名
      Motoyuki Nakao
    • 学会等名
      Experimental Biology 2017 Annual Meeting
    • 国際学会

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公開日: 2018-12-17  

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