研究課題/領域番号 |
16K16303
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研究機関 | 宇都宮大学 |
研究代表者 |
出口 明子 宇都宮大学, 教育学部, 准教授 (70515981)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 理科 / 生活科 / 接続 / カリキュラム |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,よりよい理科の学習者を育むことを目的に,「生活科」から「理科」への接続に着目して,その在り方についての理論的・体系的な検討を行うとともに,それを支援する科学教育カリキュラムの開発を行うことである。研究初年度の28年度は,以下の3点を実施した。 1点目は,現行の「生活科」及び中学年「理科」の学習指導要領,教科書に記載の教材内容や配列を精査したことである。また,生活科と理科の接続や小学校低学年期の理科・科学教育カリキュラムに関する国内外の先行研究の調査も合わせて実施した。 2点目は,1点目の調査結果をもとに,特に「エネルギー」概念に着目し,「理科」が始まる小学校第3学年における計4つのエネルギー単元(風とゴム,光,電気回路,ものづくり)の年間のカリキュラムデザインを,現職小学校教員と協同で開発した。いずれの単元においても,生活科からの円滑な接続を目指して,科学絵本の導入や,実験ワークシートへの記述支援などに着目したデザインを行った。 3点目として,開発カリキュラムデザインを実際の授業に導入し,実践的な評価を行った。その結果,第2学年終了時においては,エネルギー概念に関して例えば風やゴムの断片的な特徴には気付いていた児童らが,一連のカリキュラムを経験することで,「エネルギー」にはいくつかの種類があることや,それらエネルギーは変換されるといった特徴があることを理解できていたことが明らかになった。 なお,一連のカリキュラムデザインやその評価の一部については,学会等での成果公表を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画していた教育課程の検討,先行研究の調査が概ね完了し,小学校第3学年における「エネルギー概念」の形成に着目した年間カリキュラムのデザインとその実践までを実施することができたため。
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今後の研究の推進方策 |
28年度のカリキュラムデザインの開発にあたっては,現職の小学校教員との強力な連携のもと,実施対象となった小学校第3学年の児童らの概念発達の実情に即して,当初計画していた科学絵本の導入等を柔軟に実施することができた。 29年度は,引き続き同小学校との緊密な連携のもと,新たに生活科のカリキュラムデザインを行うことを計画している。さらに第4学年になった児童らを対象として,昨年度からのエネルギー概念の発達・形成を引き続き支援するとともに,粒子の分野を対象としたカリキュラムデザインにも着手する。これらのデザインにあたっては,科学絵本のほかに,国語教育研究の専門家との連携のもと,実験ワークシートの記述支援を行うことも計画している。 なお,各種カリキュラムデザインやその評価結果については,日本理科教育学会や日本科学教育学会の全国大会・研究会において,成果公表を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
28年度はカリキュラム開発を小学校第3学年のエネルギー分野に限定して行ったため,理論的・体系的検討や教材開発に必要な各種書籍や資料が限定的であったことが理由として挙げられる。
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次年度使用額の使用計画 |
29年度は,生活科及び第4学年のエネルギー・粒子分野といった多岐にわたるカリキュラム開発を計画しているため,28年度の残額と29年度予算を合わせ,効率的かつ有効な予算執行のもと,充実したカリキュラム開発に取り組むことを計画している。
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