研究課題/領域番号 |
16K16305
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研究機関 | 大学共同利用機関法人 人間文化研究機構本部 |
研究代表者 |
高祖 歩美 大学共同利用機関法人 人間文化研究機構本部, 総合情報発信センター, 研究員 (10747520)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 科学コミュニケーション / 広報 / プレスリリース |
研究実績の概要 |
本研究では、日本の大学等において科学コミュニケーションの一種として実施されている、科学の研究成果を扱うプレスリリースに着目してその構成項目を明らかにし、マスメディアの記者に情報を最適に伝えるという観点から、理想のプレスリリースのモデル(テンプレート)を提案することを目指している。 平成29年度は、本研究で設定している3つの課題のうち、課題2「大学等における科学の研究成果を伝えるプレスリリースを取り巻く状況の把握」と課題3「マスメディアが期待するプレスリリースの構成項目の把握」を進めた。 課題2については、①プレスリリースが誰の手によって、②どのような過程を経て作成されているか、③どのような手段でプレスリリースをマスメディアに配布しているか等の実態をアンケートにより調査した。具体的には、全国の国公私立大学や研究機関350の広報部門にアンケートを配布して、191件の回答を得て、結果を分析した。加えて、アンケートを回答いただいた機関のうち、9つの大学等の機関の協力と同意を得て、当該組織の広報担当者への聞き取り調査を行い、アンケート結果の解釈を深めた。 課題3については、マスメディアとの懇談会を東京と京都で1回ずつ開催して、科学記者の視点から大学の広報やプレスリリースについて、意見を交換した。 課題2により得られた結果は、科学コミュニケーションの国際学会であるPCST(Public Communication of Science and Technology)の2018年会にポスター発表として応募し、採択された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画に沿って課題2と3が進められている。また、成果発表も平成30年度に予定しているため、おおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度となる今年度は、課題3「マスメディアが期待するプレスリリースの構成項目の把握」で予定している科学記者との個別のインタビュー調査を進める。平成29年度に行った2回のマスメディアとの懇談会の内容を踏まえて、個別インタビューの質問項目を選定する。インタビューの様子は録音して、内容は書き起こして、分析する。本調査によって、大学や研究機関発のプレスリリースに対する科学記者の評価と科学記者が考える、研究成果のプレスリリースが備えるべき構成項目を明らかにする。 課題1(「科学の研究成果を伝えるプレスリリースの構成項目の抽出と記述」)で見出した、大学等が実際に作成して配信しているプレスリリースの構成項目と上記課題3の結果(情報の受け手である科学記者が有用と考えるプレスリリースを構成する項目)を比較して、両者の相違点を抽出する。この相違点に基づいて、科学の研究成果を最適に伝えるプレスリリースが備えるべき構成項目と、それら構成項目から成るプレスリリースのモデルの構築を目指す。 成果は随時国内外の学会や学術雑誌で発表していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成29年度中に国際学会の発表を予定していた。しかし、実際には、学会が平成30年の4月初頭に開催されることとなったため、国際学会に参加するための旅費を次年度に繰り越すこととなった。すでに、国際学会でのポスター発表は採択されている。
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