現行の学校教育が科学リテラシーの習得を保証するかを明らかにするために本研究を実施した。具体的には、日本および カナダの高校で広く用いられる生物の教科書を研究対象とし、その教科書に含まれる設問が要求する認知的能力の段階を分析した。その結果、カナダの教科書では、ブルームの分類法により定義される第1~6段階までの幅広い認知的能力が設問の回答に要求されるよう作成されたことが明らかとなった。一方、日本の教科書では、主に第1および第2段階、すなわち知識および理解のみが設問の回答に必要であることから、高次認知能力といわれる第4段階~第6段階の習得の促進を意図して作成されていないことが明らかとなった。
|