前年度に抽出した調査指標を用いて引続き調査を進め、自律分散型イノベーションエコシステムのメカニズムをモデル化し、動的デザイン・マネジメントの方法論として提案した。本モデルについて、前年度国際会議や各地のEIT拠点でのインタビューの際に得た当該分野の第一線の研究者および実務家との議論・フィードバックをもとに学術的に検討し、これについて国内研究会・国際会議で報告し論文としてまとめた。並行して、自治体との連携により展開する地域中小事業者を主な対象とした産学連携人材育成プログラムを基盤に、地方型イノベーションエコシステム施策として研究成果を社会還元した。 国際会議・国内研究会では欧州と国内地方の双方において、公刊された文献にとどまらない実務家・政策立案者からの情報や見解、本研究が提案するモデルに対するフィードバックが有効であった。同時に、彼らの本研究への今後の展開についての関心も高かったことから、研究手法として引続きフィールド調査を中心としたアプローチを継続するとともに、本研究成果の社会還元としての実証研究にも継続して取り組みたい。また、アートなど複数の他分野隣接領域の研究者との議論を通じて本研究と当該研究分野との類似性や関連性について多くの示唆を得たことから、学際的共同研究を強化し、それらとの相違を手がかりに共創のダイナミクスの基礎的な構造および動的性質について学術的検討を深め、関係性のデザインマネジメント手法に適用し、ソーシャルデザインの方法論の発展に寄与する。
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