研究課題/領域番号 |
16K16310
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研究機関 | 小山工業高等専門学校 |
研究代表者 |
大島 心平 小山工業高等専門学校, 電気電子創造工学科, 准教授 (60608230)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 高周波回路 / シミュレータ / 電磁界可視化 / PDCA / 技術者育成プログラム / 科学教育 / 教育工学 |
研究実績の概要 |
本研究では、電磁界可視化教材とPDCA(Plan Do Check Action)式の実験を用いた実践的高周波回路設計者育成プログラムの開発を目的としている。平成29年度に取り組んだ内容を以下に記す。 (1)電磁界可視化教材の開発 昨年度の検討結果を踏まえて、隣接して実装された部品が積層インダクタの電気特性に与える影響に関する電磁界可視化教材を講義で活用した。また、マイクロストリップラインを題材にインピーダンス整合の状態での電界及び磁界の様子を可視化したアニメーションを作製し、講義での説明に活用した。これらの講義内容については、無記名のアンケートを実施することで、現状の課題と作製した教材の効果を確認した。更なる教材の開発として、隣接して配置した2台の積層インダクタを直列に接続した場合のインダクタンスの変化を理解するための教材を作製した。また、積層インダクタと積層キャパシタを隣接して配置し、並列の共振回路を構成した場合の周波数特性を理解するための教材を作製した。 (2)PDCA式実験の検討 昨年度の検討結果を踏まえて、高周波フィルタ回路の設計を題材に実際に教育を実施した。実験は2人1組のグループで実施する方法を採用した。仕様を基に設計する内容を含めた実験であり、実験計画書の作成、回路シミュレータを用いた設計等の実験内容を実際に実施することができた。一方、測定器やシミュレータの操作方法の習得に想定した以上の時間が必要となり、その結果、回路、電磁界シミュレータを併用した設計法及び2回目の実験を実施するための時間が確保できず、実験時間の確保に課題を残した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
電磁界可視化教材の開発については、概ね順調に進展した。具体的には、マイクロストリップラインを題材にインピーダンス整合の状態での電界及び磁界の様子を可視化した教材を作製し、昨年度に作製した教材とともに、実際の講義で活用することができた。また、電磁界可視化を利用した更なる教材の開発も実施するとともに、これまでの研究成果を研究会、大会で発表した。一方、PDCA式実験の検討は、やや遅れている。具体的には、仕様を基に実験計画を立て、回路シミュレータを活用して設計する実験を実施できたが、実験時間の配分が課題となり、回路、電磁界シミュレータを併用した設計法及び2回目の実験が実施できなかった。この課題については、平成30年度に引き続き検討する計画である。
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今後の研究の推進方策 |
PDCA式の実験については、実験内容及び時間配分を見直し、回路、電磁界シミュレータを併用した設計法及び2回目の実験が実施できる工夫を検討する。電磁界可視化を利用した教材開発については、平成29年度に講義で活用した結果を踏まえて、完成度の向上を検討する。また、講義で得た知識を実際の実験で確認できるような工夫を検討するとともに、得られた研究成果をまとめて関連する研究会や大会等で発表する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度に成果発表を含めて旅費を計上しているが、科研費申請時の申請額に対して配分額が減額されているので、繰り越して次年度の旅費として活用することにした。
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