雇用形態の多様化・グローバル化の進展に伴う経済的な変動・大学進学者の増加、多様化など問題に対応し、社会の流動性の増加につれて、社会構成主義な新しいキャリア理論である「キャリア構築理論」に位置づく教材開発を進めた。 本研究では大学生が自身のキャリアストーリーを他者と創発的に構築する活動を実現するゲーム教材「私の未来の仕事」を開発した。 開発した教材「私の未来の仕事」の概要を述べる。ゲームは「過去・現在」、「未来」、「ストーリー構築」の3つのラウンドで構成されている。「過去・現在ラウンド」では、アイスブレイクとお互いの仕事観を知るための質問に対して、他の参加者の答えを予測して回答する活動を行う。未来ラウンドでは、「大学生の頃、一番なりたかった職業は××だった。しかし、私が最初についた職業は勢いでエントリーした○○だった」のような設問を出題する。参加者はまず現在のキャリアについての質問(××の箇所)について一人ずつ回答する。その後、複数地点の未来における働き方を表す文章の空欄(〇〇の箇所)を過去・現在ラウンドで得られた情報などをヒントに想像して回答する活動を行う。「ストーリー構築」ラウンドでは、これまでの結果を踏まえて、各参加者は就職時点、5年後、10年後、20年後にどのように働いていたいかをシートに記入する活動を行う。 本年度は昨年度の課題であった、一部の参加者が「やや突飛なアイデアや面白い回答に終始してしまい、狙ったようなディスカッションが行えない」という問題に対応するための調整と新たな大学2校での実践を行った。実践の結果では、これまでの結果と同様にゲームは楽しいものであり「他者のアイデアを知ること」や「これまで気づかなかった新しい考え方をする」ことなどが確認され、一定の成果が得られたといえる。しかし、本研究に関する論文は投稿中であり、研究期間内での採録はならなかった。
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