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2016 年度 実施状況報告書

オンライン上での協調的な歴史的類推を促すグループ編成システムの開発と評価

研究課題

研究課題/領域番号 16K16314
研究機関東京大学

研究代表者

池尻 良平  東京大学, 大学院情報学環・学際情報学府, 特任助教 (40711031)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2018-03-31
キーワード教育工学 / 歴史学習 / 類推 / グループ編成 / メディア教育 / 協調学習 / 歴史
研究実績の概要

2016年度は、文献調査と授業実践を通して協調的な歴史的類推につながる効果的なグループ編成方法を検討し、システムを実装した。
文献調査ではまず、協調学習における効果的なグループ編成方法を調査した。その結果、学習領域に必要な複数のスキルをテストで測定した後にバランス良くグループに割り振る方法と、学習内容を分割してグループ内の役割を付与する方法の2つに大別された。これらを歴史的類推の先行研究をもとに検討すると、スキルに関しては①歴史の因果関係の理解、②現代のニュースの理解、③歴史と現代の類似性の発見、④歴史と現代の差異の発見の4つが該当し、学習内容の分割方法としては立場の対立軸(中心・周縁構造や階層構造、政策に対する是非など)で分割するパターンと、歴史の領域的側面(政治・経済・文化・社会など)で分割するパターンが該当した。
次に高校2年生を対象に授業を複数回実施して仮説を検証した。その結果、選んだニュースに対して対立軸のどちらの立場で類推したいかを2択で選択させ、両立場が含まれるようにグループ編成することで、歴史的類推の複合的な組み合わせが一部で確認された。一方、4つのスキルに関しては高校生の段階では不足していることが多く、グループ編成の変数として用いるよりは支援の対象とすべきこともわかった。
以上の結果をもとにしたグループ編成システムを実装した。具体的には、授業実践ごとにその日の複数のニュースを教師側で準備できるWEBページ、生徒のログインIDを作成できる機能、生徒に興味のあるニュースと対立軸のどちらの立場で類推したいかを選択させることで、両立場が含まれるグループ編成機能を開発した。ただし、対立軸の2択だけではグループのバランスを取ることが難しいため、そのニュースに対してどの領域的側面に着目したいかのデータも取得し、両方の組み合わせでグループ編成をする機能も追加した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

2016年度は、協調的な歴史的類推につながる効果的なグループ編成方法の検討と、グループ編成システムの開発を予定していたが、共に順調に進んでいるといえる。特にグループ編成方法については、当初の予定にはなかった授業実践を踏まえた形成的な評価も行えているため、より精度の高い仮説を構築できた。そのため、次年度に予定しているグループ編成システムを統合した学習メディアの評価についても、部分的に先取りして進められているといえる。

今後の研究の推進方策

2017年度は、予定していた通り、グループ編成後の議論スペースの開発と、グループ編成システムを統合した学習メディアの評価を行う。グループ編成後の議論スペースの開発には、前科研で開発したシステムとの統合作業が必要になるため、前回のWEBデザイナーと相談しながら学習を促進しやすいインターフェイスも検討する予定である。また、開発システムの学習評価に関しても候補先の高校は検討しており、夏から秋にかけて正規の授業もしくは特別授業として複数回実施できる体制を早めに構築する予定である。

次年度使用額が生じた理由

グループ編成機能のシステム実装と連動してWEBデザインを業者に発注・納品してもらう予定だったが、先方の作業工程的に当該年度内の納品が難しくなり、納期を次年度に変更したため。

次年度使用額の使用計画

次年度の5月を目処に、予定していたWEBデザインの外注費用として使用する予定である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2016

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 歴史をその日のニュースの問題解決に応用するシステムを用いた学習の分析 協調的な歴史的類推を促すグループ編成に着目して2016

    • 著者名/発表者名
      池尻良平, 澄川靖信
    • 学会等名
      全国社会科教育学会研究大会
    • 発表場所
      兵庫教育大学(兵庫県・加東市)
    • 年月日
      2016-10-08 – 2016-10-09

URL: 

公開日: 2018-01-16  

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