研究課題/領域番号 |
16K16315
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
仲谷 佳恵 東京大学, 大学院情報学環・学際情報学府, 特任助教 (70771864)
|
研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
キーワード | 教授学習支援システム / 第二言語習得 / スピーキング / 英語学習 |
研究実績の概要 |
本研究にて提案するバーチャルチューターについて,バーチャルチューターが英語スピーキング能力や意欲に与える効果を検証した.バーチャルチューターを足場かけとして英語スピーキングを行う群とバーチャルチューターを使用せず英語スピーキングを行う群の学習効果および意欲の主観評価を比較した. 学習効果については,バーチャルチューターによる足場かけが英語スピーキングにおける認知的負荷を下げ,統語処理に集中するよう促すことによって,流暢さが向上することが示唆された.意欲については,特定のコンテンツのスピーキングに対する自信が得られ,自学自習の頻度が向上することが示唆された.加えて,バーチャルチューターを活用した英語スピーキング自学自習システムを,授業内活動と組み合わせた学習についての効果も検証し,コミュニケーション方略の使用向上に一定の効果があることが示唆された. したがって,バーチャルチューターの効果として当初想定していた,学習者の心理的側面に対する効果だけでなく,スピーキング能力に対する効果についても一定の示唆を得ることが出来た. これらの結果についての研究発表として,以下の成果を得た.まず,教育システム情報学会論文誌The Journal of Information and Systems in Educationに採録が決定した.2016年7月28日には国際会議ICALT2016 (The 16th IEEE International Conference on Advanced Learning Technologies)にてフルペーパーで発表した.また,授業活動と組み合わせることでコミュニケーション方略へ及ぼす効果について,日本教育工学会 第32回全国大会および人工知能学会研究会 第79回先進的学習科学と工学研究会にて発表した.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初の予定は,バーチャルチューターが学習者の意欲・言語不安に対する心理的な側面の効果の検証を行うことだった. しかしながら,遂行途中では有るが意欲だけでなく英語スピーキング能力に対する効果や,実際に人を相手にした場合の学習者のコミュニケーション方略に対する影響についての検討も行うことが出来た.
|
今後の研究の推進方策 |
バーチャルチューターが英語スピーキングに対してどのような役割を果たせるかをより詳細に検討するため,以下の2点について実験・分析を行う.(1)バーチャルチューターのどのような特性が,学習者の英語スピーキング自学自習に効果を及ぼすか.バーチャルチューターのみの学習と対面での学習を比較し,バーチャルチューターで支援できるのはどこまでの能力なのか,対人でないと伸ばせない能力は何か,といった部分を,流暢さ以外の観点からも検証する.(2)対人でスピーキングを行う上で重要なコミュニケーション方略について,バーチャルチューターはどこまで支援が行えるのかを検証する.
|
次年度使用額が生じた理由 |
データの記録に使用する消耗品の使用頻度がやや少なかったため,物品費の支出が抑えられた.
|
次年度使用額の使用計画 |
2016年度の研究成果により,学習者の発話に対する詳細な検討の必要性が生じたため,学習者の発話の書き起こしに必要な作業の費用の一部として使用する予定である.
|