研究課題/領域番号 |
16K16330
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研究機関 | 大和大学 |
研究代表者 |
高橋 朋子 大和大学, 教育学部, 講師 (10388796)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 仕事体験学習 / 教材開発 / 実践記録の分析 |
研究実績の概要 |
本研究では、職業能力と関連づけた共通教科情報科におけるカリキュラム開発に向けての基礎研究を行っている。全ての職業に共通する事務系職種や、幅広い「情報活用能力」が期待される広告系職種、ウェブデザイン系職種を取り上げ、それぞれの職種にどのような能力が必要になるかを職業能力評価基準を分析し、対象とした職種における「仕事体験学習」を開発している。「仕事体験学習」は、仕事を体験しながら学べる学習プログラムであり、職業能力評価基準をもとに開発する「情報実践創造力」の査定基準で、修得した能力を説明することができる。今年度は下記の事項について検討した。 (1)「情報実践創造力」の抽出基準を再検討 JAVADA の職業能力評価基準の事務系職種(新入社員レベル )の能力ユニットを対象とし、「情報実践創造力」を抽出するための基準を検討した。この作業は、業種を増やす際の抽出基準を明確にするためであり、抽出の妥当性を高めるための作業である。職務経験者のインタビューを実施した上で再設定を行った。 (2)学習者が仕事を体験する際の参考資料となる「仕事紹介カード」の作成 事務系職種、広告系職種、ウェブデザイン系職種における「情報実践創造力」を職業能力評価基準から抽出し、その職種の仕事内容や、どのような能力が求められるのかを「仕事紹介カード」として整理した。 (3)「仕事体験学習」の実践記録を分析 教材開発のために少人数トライアウトとして、大学生を対象とした仕事体験学習を2回実践している。LINEアプリ等を用いた実践記録や実施後のアンケートなど学習者の実態から教材が機能したかどうか、意図した成果が見られたかどうか等について分析した。分析結果をもとに、5種類の教材を改善した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
仕事体験学習の教材、査定基準、仕事紹介カードの開発はおおむね順調に進んでいる。しかしながら、それらの開発した教材を用いた実践を行うことができていない。今年度は、30人程度の中規模で「仕事体験学習(ワークショップ)」を実施(トライアウト)する予定であったが、希望するだけの参加者数を集めることができずに実施することができていない。 現在開発している教材は学習者用であり、「仕事体験学習(ワークショップ)」を実施するためには、開発者側でファシリテータや運営、環境設定を行う必要がある。そのため、開催場所や開催日時等に制限がかかり、一般募集では多くの参加者を集めることが難しいのが現状である。 そこで、仕事体験学習に関心のある現場の教員がファシリテータとなり、いつでもどこでも目の前にいる学習者を対象として実施することができるように、まずは開発した仕事体験学習の教材を公開する準備を進めている。そして、指導者がいなくても学習が機能するように、学習者用の学習コンテンツ,教員用のコンテンツと活用ガイドをweb上で提供できるように準備を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、今年度の実践結果を踏まえて、教材の枠組みを広げ「仕事体験学習」における教材を新たに5種類開発する予定であった。しかしながら、今年度は参加者の確保が厳しく実践を行うことができていない。 そこで、今後の研究計画は、教材の枠組みを広げて種類を増やすのではなく、開発した5種類の教材をより広く多くの人が活用できるように修正する。まずは開発した仕事体験学習の教材をWeb上で公開する準備を進める。そして、開発者側がファシリテータを行わなくても学習が機能するように、学習者用の学習コンテンツ、教員(ファシリテータ)用のコンテンツと活用ガイドをweb上で提供できるように準備を進める。 コンテンツや学習ガイドの開発、Web上への公開にあたっては、これまでに共同研究を行ったことがある(株)ワークアカデミーに、図や表の作成、構成、レイアウトなどの編集作業を依頼する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
開発した仕事体験学習の教材、査定基準、仕事紹介カードを用いて、今年度は30人程度の中規模トライアウトである第2回「仕事体験学習(ワークショップ)」を実施する予定であったが、一般募集では希望する参加者数を集めることができず実施することができなかった。そのため、会場費や事前打ち合わせ費用、講座開催のための諸費用等の差額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
一般募集型の「仕事体験学習(ワークショップ)」では、参加者を集めることが難しいため、仕事体験学習に関心のある現場の教員がファシリテータとなり、いつでもどこでも実施できるように研究計画を修正する。そのために、学習者用の学習コンテンツ、教員(ファシリテータ)用のコンテンツと活用ガイドを開発してWeb上で提供できるように準備を進めており、今年度の差額分はその開発費として使用する。
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