研究課題/領域番号 |
16K16336
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
榎本 碧 九州大学, 工学研究院, 特任助教 (40713277)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 歴史的土木構造物 / 保全 / デザイン / 橋梁 |
研究実績の概要 |
本研究は、英国における歴史的近代橋梁保全運動に着目し、様々な主体や個人による保全議論が展開する中で1924 年に設立された公的なデザイン諮問機関である王立芸術委員会(Royal Fine Arts Committee、以下RFACとする。)がどのような役割を果たしたかを明らかにし、戦後にさらに活発化する近代土木遺産の保全運動、保全制度や産業考古学等の団体の確立にどのような影響をもたらしかを明らかにすることを目的とする。 本年は昨年度から継続して行っている議事録および関連資料の収集として1938年から1960年までの委員会の議事録および関連資料について調査、分析を行った。また、1924年から1939年に王立委員会で取り上げられた橋梁の保全事例に関して関連する新聞などの2次資料の調査、収集を行った。 調査分析の結果、1924年から1938年までにRFACの定例会で議論された橋梁の新設、保全、修復等の件数は140件、そのうち既設橋梁の保存事例の件数は4件であった。このうち、保存方法についてRFACの定例会で詳細な議論が行われていたのはWaterloo BridgeおよびMenai Suspension Bridgeの2件であった。これは、これまでの研究で推測していた英国の戦間期(第一次世界大戦終戦後の1919年から第二次世界大戦が始まる1938年)の橋梁保全の事例におけるRFACの関わりを裏付けるものであると考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
所属を移転する関係で引き継ぎ業務などが発生したため調査後の資料の分析作業を行う時間がとれなかったため。
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今後の研究の推進方策 |
当初予定していた収集資料のうちおおよそ4分の3は収集できた。残りについては、資料の所蔵場所等は確認したため現地調査ではなく日本からの複写依頼を行う。今後はこれらの資料をもとに分析を進めて研究のとりまとめを行う。
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