本研究は植民地朝鮮において発行された『朝鮮民暦』を中心に、大韓帝国期から朝鮮総督府期における朝鮮半島における改暦の政治社会的意味を探求し、「植民地朝鮮における新旧暦書をめぐる相克」(『帝国日本の科学思想史』(勁草書房)に所収)として発表した。その中で、1)帝国日本による改暦を通じた朝鮮の時間制度への介入は、総督府期ではなく統監府期の1909年にすでに強 まっていたこと、2)暦書に手を加えたことは単なる時制の変更にとどまらず、社会的慣習・習慣、伝統的宇宙観への介入を意味していたこと、3)強権的な生活改変を試みたにもかかわらず、人々の暮らしは簡単には変わらなかったことを明らかにした。
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